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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 皮膚に関すること
保育園の先生に「肌が黄色い」と言われました。みかんやかぼちゃが好きでよく食べますがそのせいでしょうか?
1歳6ヵ月の女の子です。保育園の先生に「肌が黄色い。」と指摘されました。気になったため、かかりつけの病院でみてもらいましたが、「特に問題ない。」と言われました。今まで肝臓の異常も指摘されたこともなく、本人も元気です。
ただ、手足が少し黄色っぽいので、何か考えられる原因とかあるのでしょうか? みかんやかぼちゃが好きなのでよく食べますが、そのせいでしょうか?
病気ではありませんが、カロテンの取り過ぎのケース(「柑皮(かんぴ)症」)と思われます。白目が黄色くなければ、黄疸の心配はありません。少しだけみかんや海苔の摂取量を控えてみましょう。
柑皮症とは、皮膚が黄色くなる症状のことで、特に角層の厚い手のひら、足の裏や、皮下脂肪の豊富なほっぺなどにβカロテンが沈着しやすく黄色っぽくなります。
肝臓が悪くて生じる「黄疸(おうだん)」と違って、白目まで黄色くなることはありません。
柑皮症をきたす原因のほとんどは、βカロテンを代表とするカロテノイドを多く含む食品をたくさん摂取しているためです。
βカロテンを多く含む食品の代表格は、このお子さんの大好きなみかんやかぼちゃですが、ほかにも日本人のよく食べるのり、ほうれんそう、かいわれ大根、プルーン、トマトなどがあります。
治療は簡単で、βカロテンを多く含むこれらの食品の量を控えることです。
黄色くなった皮膚がどれくらいで普通の肌色に戻るかは、その後のβカロテンの制限の仕方によりますが、だいたい2〜6ヵ月くらいです。
βカロテンはビタミンAの前駆物質(体内でビタミンAに変化する栄養素)で、ビタミンAは成長や発達、視力などにかかわる不可欠な栄養素ですから、βカロテンの摂取ももちろん重要なのです。
また、最近ではビタミンAとしての作用よりも、抗酸化作用によるがんや心臓病予防のためにいわゆる健康食品として用いられることが多くなってきました。そのためおうちのかたと一緒にお子さんも健康食品を内服することも多くみられるようになり、それらの過剰摂取による柑皮症も増えているため注意が必要です。
つまり、βカロテンは体に必要なビタミンのひとつではありますが、過剰に取り過ぎると、皮膚が黄色くなってしまうので「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ということです。一度、皮膚科への受診をおすすめします。