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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 皮膚に関すること
椅子の角に顔をぶつけてしまい、その部分が笑うとへこむようになってしまいました。手術をして元に戻るのでしょうか?
1年ほど前に椅子の角に顔ぶつけてしまいました。そのときは内出血で済みましたがその後、傷の部分が笑うとへこむようになってしまいました。普通にしていてもぶつけた部分が若干色素沈着したように見えます。
形成外科で見てもらいましたが、どうしても気になるようなら手術をして中で固まっているだろう部分を取り除くと言われました。
1年がたちましたが笑う度にその部分を見ると心が痛み、元通りにしてあげたいと思うのですが手術となると怖い気もします。手術をして絶対に元に戻るんでしょうか。
へこんだ傷は完全に元に戻ることはありませんが、今後成長とともにもっと目立たなくなると思います。すぐに手術を考えるよりも、もう少し長い目で様子を見た方がいいでしょう。
椅子の角に顔をぶつけ、そのときは内出血だけで済んだのに、あとでその部分がへこんできたということですが、そのとき内出血した部分の皮膚の深い所が壊死(えし:体の組織の一部がダメージを受けて死んでしまうこと)したものと思われます。
皮膚の少し深いところの組織がなくなった分だけ皮膚の表面が落ち込んでへこんでしまったのでしょう。
また、少し褐色に色がついたように見えるのも、損傷を受けたときに内出血し炎症を起こしたあとの色素沈着と思われます。
皮膚は、ちょっとした擦り傷でも、打ち身でも、虫に刺されたぐらいでも、あとでしばらく炎症後の色素沈着を起こすものです。
でも、時間とともに次第に薄くなり、数年たてばほとんど消えていくことも多いのです。
また、へこんだ傷は完全には元に戻らないものの、時間とともにまわりの組織が少しずつへこみを補うように成長してきて次第に目立たなくなってくるものです。
特に子どもの顔の皮膚は血行が豊富なため再生能力が旺盛(おうせい)で、大人に比べて傷あとが次第にきれいになりやすいものです。
ですから、すぐに手術を考えるよりも、長い目で様子を見た方がよいと思います。
もし、将来形成外科的な手術をするとしたら、そのへこんだ部分の皮膚を切り取って、縫い合わせるような手術になるので、いくらきれいに縫ったとしてもかすかな縫い目の傷が残ります。手術をしたことで、かえって傷が目立ってしまったということも絶対にないとは言えません。ですから手術を考えるのも、かなり慎重にした方がいいと思います。
形成外科の主治医が、手術をぜひともした方がいいと自信をもってすすめられた場合に、手術を検討なさるとよいでしょう。