-
総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
添い寝で授乳をしていますが、風邪から急性中耳炎を起こし、治りが悪いので起こして飲ませるようにと言われました。どの程度の高さなら耳へ流れないのでしょうか?
風邪から急性中耳炎を起こし治療しているのですが、まだ添い寝で授乳を続けています。先生から治りが悪いので起こして飲ませるようにということでがんばってみたのですが、寝るときはどうしても添い寝で授乳でなければ寝てくれません。どの程度の高さくらいなら耳へ流れないのでしょうか?
鼻への飲食物の流入が、中耳炎を長引かせる要因となる可能性があります。完全に起きた状態でなくとも、お子さんを抱っこして、上体を少し起こした姿勢で授乳するだけでも、鼻へのミルクの流入をかなり防げるものと考えます。
軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる鼻とのどの間にある部分は、食べたり飲んだりするときに、鼻に飲食物が流入するのを防止する役割を担っています。しかし、大人でも、寝た状態で飲み物を飲もうとして鼻の奥に入り込んでしまった経験があると思いますし、まして軟口蓋を含めた嚥下(えんげ)機能の未熟なお子さんであれば、寝た状態では、より飲食物が鼻に流れ込みやすくなると考えられます。
鼻の奥に飲食物が入り込みますと、鼻の奥の上咽頭(いんとう)部分に炎症を生じることになり、さらにそこから耳に通じる耳管を通して中耳にまで炎症が及べば、中耳炎を繰り返したり、なかなか治らなくなったり、治療が困難になる要因のひとつになると考えられます。
もちろん、これらの要因には個人差もありますので、すべてのお子さんが当てはまるわけではありませんが、お子さんの中耳炎が治りにくいときに、添い寝での授乳が影響していると考えることも十分理解できるものと思います。
完全に起きた状態でなくても結構ですので、まずはお子さんを抱っこして、上体を少しだけ起こした姿勢での授乳を試してみるとよいでしょう。ほんの少し体を起こすだけでも、鼻へのミルクの流入は相当軽減されると考えられますので、耳への悪影響も少なくなると考えられます。
どうしても寝た状態が必要であれば、布団やまくらの配置を工夫して、寝床全体を傾斜させてみることもひとつの方法かもしれません。