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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
耳あかのタイプは遺伝のようですが、蓄膿(ちくのう)症も遺伝するのでしょうか?
生まれつき「ネコ耳」で、黄色い耳あかが出てきます。これは遺伝のようで祖父、父親も同じです。そして祖父、父親とも蓄膿(ちくのう)症を経験しており、かなり長い間通院をしていました。娘もそのうち蓄膿症になるのではないかと心配していますが、どういうことに気をつければよいのでしょうか? また、ときどき耳をかゆがってその度に耳鼻科へ行ってはいますが今のところ何でもないようです。
耳あかの性状は遺伝すると言われていますが、蓄膿症(副鼻腔炎:ふくびくうえん)が例外なく遺伝するということはないと考えられています。日常的な配慮や治療で、予防・悪化防止に努めるようにしましょう。
ネコ耳あるいはアメ耳と言われる湿った耳あか(湿性耳垢:じこう)は、優性遺伝すると言われています。ご両親のどちらかが湿性耳垢の場合、お子さんも同様になりますので、ご相談のお子さんの場合、お祖父さんからお父さんとその体質を受け継いできたことになります。
湿性耳垢は、皮膚に対する刺激がより強いと考えられますので、かゆみを訴えたり、外耳道の湿疹(しっしん)や炎症を起こしやすくなる場合があります。こまめに耳掃除を行って、局所の清潔に留意してください。
一方、蓄膿症は鼻や副鼻腔の感染症ですので、その発症には周囲の衛生状態や栄養状態などの影響が大きいと考えられます。小さなお子さんでは、鼻や副鼻腔の構造や機能的未熟さから副鼻腔炎を起こしやすい傾向があったり、アレルギー性鼻炎の存在が副鼻腔炎の発症に影響している部分もあります。
顔かたちやアレルギー的素因に関しましては、遺伝的要因も影響しますので、その意味では副鼻腔炎の発症に対する遺伝的影響も無視できませんが、例外なく遺伝するということはないと考えられています。
日常的には、鼻をこまめにかんで鼻の清潔を保ち、風邪で鼻水が出ているときには耳鼻科や小児科で鼻水の吸引を行ったり、必要に応じて内服薬や点鼻薬を処方してもらって、副鼻腔炎の予防および悪化防止に努めるようにしてください。
また、仮に副鼻腔炎になってしまった場合でも、必要な治療をきちんと行えば、鼻の構造や機能が成熟してくる小学校高学年のころまでには治癒することが多いと考えられます。