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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
扁桃腺(へんとうせん)がはれて、よく熱を出します。熱が出ないように予防する方法や、熱が数日で下がるようにする方法はないでしょうか。
2歳半を過ぎたころから扁桃腺(へんとうせん)がはれてよく熱を出します。月に一度は熱を出し、下がるまでに1週間はかかります。熱が出ないように予防する方法、または熱が出ても数日で下がるようにする方法はないでしょうか。
扁桃炎を完全に予防することはできませんが、風邪の際の一般的な注意に準じたうがいなどの方法はある程度有効でしょう。また扁桃炎を生じた際には、早めに小児科あるいは耳鼻科を受診して、原因に応じた適切な治療を行うことが、より早期の症状改善につながることと思われます。
扁桃腺は、本来、外界からのウイルスや細菌の侵入に対してこれを防御する機能を担っているのですが、何らかの原因で防御機能が低下した場合には、ウイルスや細菌が扁桃腺に感染して増殖し、強いのどの痛みや高熱などの症状を伴う扁桃炎を生じることがあります。特に小児期には、習慣性扁桃炎と言って、年に何回も扁桃炎を繰り返すかたも少なくありません。一般に、年に4回から6回以上の扁桃炎を繰り返す「習慣性」の状態であるならば、手術について考えてみることになります。
また、お子さんでは少ないですが、病巣感染症といって、(とくに溶連菌という細菌による扁桃炎の場合)皮膚や腎臓(じんぞう)など扁桃腺とは離れた部位に生じる病気の原因に扁桃炎が関与していることもあり(たとえば腎炎など)、このような場合も手術について検討してみる価値があると考えられます。
一方で、成長に伴って感染を繰り返すことがなくなるかたも多いため、どの段階で手術に踏みきるべきかの判断に迷うことも少なくありません。
ご相談のお子さんの場合、毎月扁桃炎を繰り返しているようですので、既に習慣性扁桃炎の状態と考えられます。扁桃炎の予防策としては、免疫力の低下の要因となるさまざまなストレスや過労を遠ざける、風邪の予防に準じてうがいを励行する、十分な睡眠を含む規則正しい生活に努める、好き嫌いのないバランスの取れた食事をとるなどの点に注意する必要があるでしょう。
また、ひとたび扁桃炎を生じた場合には、細菌性の場合には適切な抗生剤の投与と安静に努め、ウイルス性の場合には対症的な治療と安静で症状の早期改善を目指すことになります。抗生剤の投与が不十分で、症状がこじれた場合には、扁桃周囲膿瘍(のうよう)と言って、扁桃腺の周囲にうみがたまる重症型の扁桃炎やほかの合併症を併発することもあります。
完全に治るまで医療機関を受診し、原因に応じた適切な治療を行うことが大切です。