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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
中耳炎になりやすい体質で心配。一度なるとくせになるのでしょうか?
7ヵ月のときに中耳炎になり切開をしました。その後1歳を過ぎたころ、風邪が原因で中耳炎になってしまいました。このときは軽く済み、抗生物質を飲み切開をしなくて大丈夫でしたが、どうも中耳炎になりやすい体質のようで心配です。
中耳炎は一度なるとくせになるのでしょうか? また切開しなくてはならない場合は、どんなときなのですか?
鼻や耳の構造上の要因や、副鼻腔炎(ふくびくうえん)・アデノイドなどの合併によって、中耳炎を起こしやすくなっている可能性もありますので、小さいうちは、鼻風邪の際にはその都度、中耳炎の有無を確認してもらうとよいでしょう。
鼻の奥と鼓膜の内側の空間(中耳腔)は「耳管」という管でつながっています。
耳管は中耳の換気や分泌液の排出の役割を果たしていますが、鼻に炎症が起こったとき、鼻の細菌が耳管を逆にたどって中耳に入り込んで増殖し、中耳腔に膿(うみ)がたまるようになると「急性中耳炎」と呼ばれる状態になります。通常は緑がかったどろどろした鼻水を伴う風邪の治りかけのころに、耳痛や発熱、さらには鼓膜を破って耳から膿のような液が出てくるなどの症状が出てきて急性中耳炎と診断されることが多いようです。
小さなお子さんでは、耳管の長さが短く、また鼻から耳に向かって角度が水平に近いという構造上の要因で、大人と比べて中耳炎になりやすいと言われています。同年代のお子さんでも、耳管の長さや角度の微妙な違いによって、中耳炎を起こしやすいお子さんもいれば、まったく中耳炎とは無関係に幼少期を過ごすお子さんもいます。
さらに、慢性副鼻腔炎やアデノイド(咽頭扁桃(いんとうへんとう))があるお子さんでは、鼻の炎症が耳に波及して中耳炎を起こしやすくなる可能性がありますし、保育園に行っているお子さんの場合は、感染の機会が多いことで中耳炎を繰り返しやすい傾向があると言われています。
小学生になるころには、皆さん中耳炎とは縁が切れることが多いのですが、ご相談のお子さんのように、小さい時期から中耳炎を起こすようであれば、より中耳炎を起こしやすい鼻と耳の構造をしているものと考えられます。
したがって、今後も風邪をひいて鼻水が多いときには、中耳炎の可能性を疑ってみる必要がありますので、小児科での診察に加えて、耳鼻科でも中耳炎の有無をその都度確認することが望ましいと考えられます。
鼓膜切開は、局所麻酔を行えば痛みなしに行うことが可能ですが、小さなお子さんでは麻酔の処置や切開の手技に対する怖さなどで、泣いてしまうことも多いかと思います。
軽症の中耳炎であれば、抗生剤の内服で治療することもありますが、鼓膜のはれや痛みが強いとき、熱が高いときなどは、鼓膜切開を行うことで、症状の改善をより早めることができると考えられますし、加えて、急性中耳炎のあとに滲出性(しんしゅつせい)中耳炎に移行することを防ぐ効果も期待できますので、切開が必要と判断されるときには、お子さんには少々のがまんをお願いすることになります。