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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
耳について1歳
寄せられたご相談
生まれつき両耳の付け根に小さな穴があいています。ときどき白い液も出てきてにおいもします。これから動きも活発になるため、どう接していけばよいでしょうか?
生まれつき両耳の付け根に小さな穴があいています。ときどきそこから白い液も出てきて、臭いにおいがします。大きくなるにつれ、動きも活発になってくると、そこからばい菌が入ってしまいはしないかと心配です。でも親があまり気にしすぎると、子どもも手でさわってしまいさらに悪循環になってしまわないでしょうか。これから、どう接していけばよいのか不安です。
先生からのアドバイス
土橋 信明 先生
先天性耳瘻孔(じろうこう)という病気です。感染を生じるようでしたら耳鼻科を一度受診されることをおすすめします。
生まれつき、耳の付け根の部分に小孔(小さいあな)を認めるかたがいらっしゃいます。
先天性耳瘻孔という病気で、小孔の中には袋状の構造があり、一部は木の根っこのように深い部分に伸びていたり、耳介の軟骨を貫通して、耳の後ろの部分につながっていることもあります。
感染を生じると、大きくはれて、小孔部分や周辺の皮膚を破って膿(うみ)が出てくることがあり、抗生剤の投与や、ときには切開して膿を出す処置が必要となります。
小孔部分を、汚い手でさわれば、感染を誘発することになりますので、できるだけさわらずにそっとしておくことが望ましいでしょう。入浴時にはそっと洗って、局所の清潔を保つように心がけてください。一度感染を生じると、その後も感染を繰り返すことが多く、そのような場合には耳鼻科の医師の判断のもと適切な処置が必要となります。一方、感染を起こさず、何の問題もなしに一生を過ごされるかたも少なくありませんので、感染を生じてはれたりしないのであれば、そのまま経過を見ていて問題ないものと考えられます。
手術が必要な場合、小児では通常全身麻酔で行われますが、瘻孔の一部でも取り残すと再発の原因となりますので、深部や耳介の軟骨に伸びた瘻孔部分まで完全に取り除くよう、慎重な対処が求められます。