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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎で近々チューブを挿入することになりました。水が入らないよう注意すること以外に今後注意しなければならないことはありますか?
中耳炎を3ヵ月の間に何度も繰り返し、6回鼓膜切開をしました。
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎になってしまったようで、近々チューブを挿入することになりました。チューブを入れた後、水が入らないよう注意すること以外に、今後注意しなければならない点など教えてください。
日常生活では、耳に水や砂などが入らないよう注意すること以外には、特に制限はありません。しかしながら、チューブのトラブル防止のため、耳鼻科で定期的に耳のチェックを行い、また滲出性中耳炎の再発予防のため、必要に応じて鼻などの治療もしっかり継続することも重要と考えられます。
滲出性中耳炎が長引き、聞こえに問題があるようであれば、鼓膜にチューブを挟み込む手術を行うことがあります。
最初の治療としては、鼻の掃除をしたり、炎症を抑える薬を服用したりしますが、それでも症状が改善しないようであれば鼓膜切開を行います。さらに最終的には鼓膜に小さなチューブを留置して、そのチューブを通して中耳腔(ちゅうじくう:鼓膜の内側の空間)の気圧の調整を行えるようにすることで、中耳腔に滲出液がたまるのを防ぐことを考えます。留置したチューブは、人間の体にとって異物となり、これを排除しようとする作用が働くため、通常は半年から1〜2年で自然に押し出されて抜けてしまいます。
ただし、チューブ留置中に外から水が入ったときには、奥の中耳腔まで容易に水や雑菌が入り込み、それが原因で急性中耳炎を起こす可能性がありますので、入浴時やシャワーの際には、耳に水が入らないように注意する必要があります。
また水泳を行う場合には、防水機能に優れた耳栓を使用し、耳栓ごと耳全体を覆うように水泳帽をかぶるなどの注意も必要です。また砂場遊びなどの際にも、砂が耳にかかったりすることがないように注意してください。
手術後、チューブが安定するまで1週間程度かかりますが、落ち着いてしまえば、頭を強く振ったりしてもチューブが抜け出てしまうことはありません。水泳以外の運動は特に制限の必要はないものと考えられます。
また、手術後しばらくすると、チューブの周囲に耳あかがたまったり、チューブの刺激で肉芽という感染性のできものを生じたりすることがあるので、定期的に耳鼻科を受診し、チューブと鼓膜の状態を確認してもらってください。
また、チューブが抜けた段階で、なお鼻の炎症やアデノイドの増殖があるようであれば、滲出性中耳炎が再発する可能性もありますので、チューブ留置中も必要に応じて鼻などの治療を継続し、鼻と鼻の奥の状態を良好に保つことも重要です。