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総合監修:二瓶 健次 先生
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病気と予防アドバイス - 予防接種
無料で受けられる予防接種の対象となる病気は危険度が高いということですか。
無料で受けられる予防接種と、自費で受ける予防接種がありますが、無料で受けられる予防接種の対象となっている病気は、かかると危険度が高いということなのでしょうか。もしそうだとしたら、どんな危険があるのか具体的に教えてください。
一定期間内であれば一般に公費(無料)で受けられる予防接種には、「MR(麻疹・風疹混合)、四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)、三種混合、不活化ポリオ、BCG、日本脳炎、ヒブ、肺炎球菌、水痘、B型肝炎」があります。国はこれらの病気の流行を防ぐため、法律で「決められた年齢までに受けてほしい」と定めており、予防接種を受けることで病気に罹らなくてすみますし、もし罹ったとしても病気の重症化や合併症を防ぐことができます。
法律により子どもたちに受けることが強くすすめられている予防接種のことを「定期接種」と言います。「MR(麻疹風疹混合)、四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)、三種混合、不活化ポリオ、BCG、日本脳炎、ヒブ、肺炎球菌、水痘、B型肝炎ワクチン」の予防接種があり、一定の年齢の範囲内であれば公費(無料)で受けられ、重い副反応が起きた場合も国の救済制度の対象となります。
それぞれの病気の危険性ですが、「はしか」は麻疹ウイルスが原因で起こる感染症で、非常に感染力が強く、重症化しやすい病気です。脳炎、肺炎、中耳炎などの合併症も起こしやすく、2001年には数十万人の流行がありましたが、予防接種の普及や各種対策により患者が減少し、2015年3月にはWHOより「日本が麻疹の排除状態にある」と認定されました。しかし、2016年8月、大阪を中心に千葉・東京等で100名以上の麻疹発生が報告され、今後も継続してMRワクチンの接種率を上げていくことが重要です。
「風疹」は女の子が大人になって妊娠中にかかると、胎児に先天性風疹症候群をもたらす危険性があります。
2013年に大流行し40名以上の先天性風疹症候群の児が生まれました。
「四種混合」はジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオを予防します。「ジフテリア」は菌が大量の毒素を出して神経や心筋を侵すことがあり、「百日咳」は激しい咳が長く続き、呼吸困難となることもあります。「破傷風」は土の中にいる菌が傷口から感染すると、その毒素により手足のしびれ痙攣などがおこり生命にもかかわります。
「ポリオ」は小児まひとも呼ばれ、30年前までは日本でも流行を繰り返していましたが、予防接種の効果で発生はなくなりました。しかしまだ世界では流行している地域があり、今後日本に入ってくる可能性がないとは言えません。
日本で現在年間約1.9万人の人がかかっている「結核」は、乳幼児の場合重症化しやすく注意が必要です。「BCG」を接種すれば、結核性髄膜炎の80%、肺結核の50%を予防できます。
「日本脳炎」は、豚の体内で増えたウイルスが蚊を媒介として人間に感染し、急性脳炎を起こします。中国や東南アジアではポピュラーな感染症で、これらの国に行く機会のある人はかかる可能性があります。
「ヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌)」や「肺炎球菌」は髄膜炎など重い病気の原因となります。
「水ぼうそう」は「はしか」に次いで感染力が強い病気で、全身に発疹(ほっしん)が出て、強いかゆみがあります。
「B型肝炎」は乳幼児期に感染するとキャリア化し将来肝硬変や肝臓癌を発症することがあります。以前はB型肝炎キャリアのお母さんから生まれた児にのみワクチン接種を行っていましたが、2016年4月以降に生まれた児全てに接種できるようになりました。