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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 手・足・つめに関すること
皮膚科で診ていただいたところ、魚鱗癬(ぎょりんせん)と言われました。ひじやひざをかゆがり、両足のすねはキリンのような網目模様になっています。今後どうすればよいでしょうか。
生まれつき肌が少しかさかさするので皮膚科で診ていただいたところ、魚鱗癬(ぎょりんせん)と言われました。ひじやひざなど関節をたまにかゆがり、両足のすねの部分はキリンのような網目模様になっています。
完全に治ることはない、と聞きましたが、今後、どのようにこの病気と付き合っていけばよいでしょうか。
正式には「魚鱗癬(ぎょりんせん)」と言います。これは遺伝性の皮膚の病気ですが、年齢とともに軽快することも多く、ふだんから皮膚の保湿を心がけるスキンケアを続ければ、決してそれほど生活上困ることのない病気です。
「魚鱗癬」は、生後まもなくより皮膚の乾燥が目立ち、角層が薄くはがれてきて(落屑:らくせつと言います)、魚のうろこのような模様の亀裂(皮膚の浅い線状の溝)ができる遺伝性の皮膚病です。
特に乾燥しやすい冬に症状が悪化します。
ひと口に魚鱗癬といってもさまざまな種類がありますが、一般によく見かけるのは「尋常性魚鱗癬」と、「伴性遺伝性魚鱗癬」です。
「尋常性魚鱗癬」は生後すぐには気づかれず、1歳前後から皮膚が乾燥し、常に細かい皮がむけかかっているようなガサガサした皮膚で、向こうずねや前腕のひじ側、おなかなどの皮膚に魚のうろこ状の模様が目立ってきます。
男女どちらにも生じ、10歳くらいまで続きますが、思春期のころからよくなり、程度が軽くなることが多いです。
「伴性遺伝性魚鱗癬」は男性だけに発症し遺伝します。
生後すぐから魚のうろこ状の皮膚が現れ、うろこの1枚1枚が大きくて褐色調が強い色をしています。すねや前腕だけでなく、ほぼ全身の皮膚に見られ、思春期を過ぎてもあまり症状に変わりはありません。
治療ないし対処法は、サリチル酸ワセリンや尿素軟膏(なんこう)、ビタミンD軟膏などを塗り、乾燥しやすくはがれやすい角質をしっかりと保湿することです。入浴後に乾燥しがちな部位にたっぷりと塗るのが効果的です。特に乾燥が強くなる冬場には、欠かさず毎日スキンケアすることをおすすめします。
乾燥のためにかゆみがあり、引っかいてしまったようなところには、先にステロイド軟膏を塗り、その上から保湿薬を重ね塗りするとよいでしょう。
カサカサと乾燥しがちな皮膚は、アトピー性皮膚炎と同じくバリア機能が弱いので、強く摩擦したり、外部からのさまざまな刺激が加わらないように気をつけるべきです。
入浴時は、お湯はぬるめにし、スポンジやタオルでゴシゴシこすらないように気をつけ、肌に優しい綿製の肌着や衣類を身につけた方がよいでしょう。このようなスキンケアに気をつければ、日常それほど困ることもないと思われます。