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総合監修:二瓶 健次 先生
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病気と予防アドバイス - 感染症
はしかとはどんな病気ですか。どんな合併症が起こりうるのでしょうか。
はしかの予防接種を受けられる月齢になりました。はしかは、症状が重いとか感染力が強い、かかってしまうと合併症が怖いなどと聞きます。
はしかとはどんな病気ですか? また、どんな合併症がありうるのでしょうか? 予防接種を受ける前に知っておきたいので教えてください。
はしかは麻疹(ましん)ウイルスによる感染症です。肺炎、脳炎などの合併症が多く見られます。
はしかは麻疹ウイルスによる感染症で、症状は主に3期に分けられます。
初めは「カタル期」。
最初38〜38.5度くらいの発熱やせき、鼻水など風邪に似た症状が出ます。
同時に目が充血したり目やにが出たりし、この状態が3〜5日続きます。
次が「発疹(ほっしん)期」。口の中の頬の内側に赤い斑点(はんてん)と白いポツポツができる「コプリック斑」が見られます。
熱はいったん下がるものの、数時間で再び40度近い高熱が出ます。
顔や耳の後ろにも発疹が出ると、一気に体中に広がり、そのうちまだら状になります。熱は3〜5日続くため食欲も落ちます。
せきはさらにひどくなり、この時期急性喉頭炎や肺炎、中耳炎を合併することが多くあります。
つらい発疹期を過ぎると、せきは残るものの熱は下がり始め、食欲も出てきます。しかしながら発疹期に体力を消耗、免疫力も落ちているため、合併症が出る可能性はまだあります。
発疹は次第に茶色っぽくなり消えていきます。これが最後の「回復期」です。
はしかは肺炎、脳炎、急性喉頭炎、中耳炎、結膜炎などの合併症が多く見られます。肺炎のうち麻疹ウイルスそのものによる「麻疹肺炎」は重症になりやすく、呼吸不全で死亡する場合も。「麻疹脳炎」も1,000〜2,000人にひとりの割合で発症し、死亡したり後遺症が出ることの多い怖い合併症です。
日本は2006年度から「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」を1歳、5歳の2回接種で行ない、強力に麻疹を根絶する取り組みを行なってきました。その結果、WHOにより2015年3月「麻疹排除」と認定されました。しかし、毎年のように、麻疹ウイルスは外国から侵入してきます(輸入麻疹といいます)。ぜひ、麻疹、風疹の再流行を防ぐために、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)をしっかりと接種しておきましょう。