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総合監修:二瓶 健次 先生
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病気と予防アドバイス - 感染症
水いぼと水ぼうそうの水疱(すいほう)や湿疹(しっしん)の見分け方を教えてください。
水いぼは白い水疱(すいほう)で、水ぼうそうは赤みのかかった湿疹(しっしん)であると聞きますが、これ以外の見分け方を教えてください。
どちらもウイルス性の発疹ですが、水いぼは中身が水ではなく充実性(中身が詰まっている)で、水ぼうそうは最初赤い丘疹ができ、真ん中に水をもって、やがて黄色いうみをもち、最後はかさぶたになります。
水いぼと、水ぼうそう、名前だけ聞くと何となく同じような「水疱」のイメージですが、実は全然違います。どちらも、ウイルス性の発疹である点だけは共通ですが、症状も、経過もまったく違うので、おうちのかたにもある程度見分けられます。
まず水いぼは、正式名は伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)と言って、人から人へとうつる伝染性の皮膚病で、特に乳幼児のような皮膚が薄い状態や、アトピー性皮膚炎の子どものような皮膚にかき傷や湿疹があるような場合にうつりやすいのです。
白〜ピンク、肌色、ときには赤みを帯びた色の、1〜5mmくらいの丘疹(きゅうしん:丘のように盛り上がった小さな膨らみ)で、よく見ると中心にわずかにへこんだおへそのようなくぼみがあります。
水いぼといっても、中に水が入っているわけではなく、中身はウイルスの白いかたまりが詰まっていて、ピンセットやつめでもつまみ出すことができます。
手のひらと足の裏以外は、体中どこにでもできますが、特にできやすい部位は、ひじやひざの裏側、ソケイ部(ももの付け根)や陰部、首など皮膚の薄くやわらかい所やこすれる所などです。
ときどき少しかゆくなることがあり、かくとつぶれて中身が出て、治りますが、そのときかいた手でさわった部位に、ウイルスがまき散らされて、さらにひろがって増えていきます。治った後は、あとが残ることはありません。免疫は不完全で、小さいころは何度もうつる可能性があります。
水ぼうそうは、水痘(すいとう)ウイルスによる感染症で、幼稚園や保育園などで流行し、まだ一度もかかっていない小さい子どもの間で集団発生します。水イボのように直接接触しなくても空気感染します。予防注射をしていても、軽くかかることも多いようです。
最初、小さな虫刺されのような赤い丘疹ができ、1日くらいで真ん中が水をもち水疱となります。それから2〜3日で、黄色いうみをもった膿疱(のうほう)となり、1週間くらいでそれがかさぶたとなります。その後10日くらいでかさぶたがはがれて治ります。
このいろいろな段階の発疹が、時期をずらして次々とできてくるので、同時に丘疹、水疱、膿疱、かさぶた、それがとれたものなど各段階の発疹が見られる点も特徴のひとつです。
体中どこにでもできますが、顔や頭の皮膚もよくできる部位です。人によっては発熱や体のだるさを伴います。治ったあとも、個人差がありますが、白っぽい瘢痕(はんこん)や小さなケロイドが残ることがあります。水ぼうそうは、一度かかると再びかかることはありません。