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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - 感染症
鼻からくる中耳炎と言われましたが、日に日に耳の下がはれてきます。
39度以上の熱が3日間続き、その後、左の耳が痛いと言うので耳鼻科に行き、鼻からくる中耳炎と言われました。
日に日に左の耳の下がはれてくるのがわかりますが、本人は痛いと言いません。ものを食べるとき痛そうにするだけです。また、呼んでも返事がないときがあったり、話をしていても聞こえているのかな、と思うときがあります。また最近ものすごく機嫌が悪く、あっちこっち当たり散らしている始末で、どう接したらいいかわからなくなってきています。
中耳炎以外の要因によるはれの可能性が考えられますので、早急に耳鼻咽喉(いんこう)科を再診することをおすすめします。
風邪症状のあと、特に鼻風邪のあと、しばらくしてから急性中耳炎を生じることは、ごく一般的と考えられます。急性中耳炎の原因となる細菌は、鼻と耳をつなぐ耳管という管を通って鼻から耳に侵入しますので、鼻に炎症があれば、そこから中耳炎の原因菌が耳に入り込むことは容易に想像できます。
しかしながら、お子さんの場合に見られるような、耳の下の部分のはれと中耳炎との直接的な関連は薄いように思われます。ものを食べるときに痛そうにしているとのことですので、扁桃腺(へんとうせん)炎や咽頭(いんとう)炎があって、その影響で耳の下の部分のリンパ節炎を生じている可能性があるかもしれません。また、耳の下のはれであれば、耳下腺炎(おたふく風邪:ムンプス、あるいは細菌性耳下腺炎)も考えられます。
特におたふく風邪の場合、ごくまれに合併症として感音難聴(内耳、聞こえの神経の障害)をきたすことがあります。
耳の聞こえが悪そうに感じるのは単純に中耳炎の影響とも考えられますが、仮に耳の下のはれがおたふく風邪が原因だとするならば、それと関連する難聴の可能性も一応疑ってみる必要がありそうです。また、外耳道炎が重症化したときに、耳の下の部分を含む耳介(じかい:外耳全体)の周囲のはれをきたすこともあります。
一方、急性中耳炎が重症化すると、耳の後ろの部分の皮膚の発赤やはれを生じる「急性乳様突起炎」を併発することがあります。この場合、通常の飲み薬などでの治療は困難で、入院のうえ抗生剤の点滴、さらには緊急手術が必要となる場合もあります。
もう一度、耳鼻咽喉科を受診して、中耳炎の経過を確認してもらうとともに、耳の下のはれの原因についても診断を仰ぐことが必要と考えられます。
また、耳鼻科以外の病気として、先にもあげたようなおたふく風邪や首のリンパ腺炎などがありますので、はれが両側になったり、赤くはれてくるようであれば、小児科の受診も必要になります。