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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - 感染症
おたふくかぜの予防接種を受けましたが、発熱で別の病院にかかったところ、またおたふくかぜと診断されました。かかりやすい体質なのでしょうか?
昨年12月に、耳の下がはれておたふく風邪かも、ということで抗体検査の結果、ムンプスウイルス抗体(−)でした。
おたふく風邪の予防接種をしておいた方がよいと小児科の先生に言われ、予防接種を受けましたが、発熱のため前回とは別の病院へ連れて行ったところ、おたふく風邪と診断されました。
祖母が連れて行ってくれたのですが予防接種をしたことを先生に話さなかったようです。おたふく風邪にかかりやすい体質なのでしょうか?
耳の下にある耳下腺(じかせん)がはれる病気は、おたふくかぜ以外にもありますし、おたふくかぜもまれに二度かかることもあります。
おたふく風邪は、両方の耳の下にある耳下腺がムンプスウイルスによって炎症を起こしてはれるために、「お多福」の顔のようになるので、おたふく風邪と昔から呼ばれています。医学的には流行性耳下腺炎(ムンプス)と呼ばれています。
診断には、発赤や熱感のない耳下腺の腫脹(しゅちょう)、耳下腺の痛みがあるか、両側性(ときに片方だけのこともあります)であるか、周囲で流行しているかなどを参考にします。
小児科の専門医であれば診断は容易ですが、ときに困難なこともあります。
診断のために、血液中のムンプスウイルスに対する抗体の値、血液中や尿中のアミラーゼという酵素の値(が高くなる)などを検査することがあります。
おたふく風邪はまれに複数回かかることがあることは知られていますが、この中にはおたふく風邪に類似の症状を示すほかの病気である可能性もあります。また、おたふく風邪の予防接種を受けていても、おたふく風邪にかかることがあることも知られています。予防接種の有効率が75%くらいとも言われています。
耳の下がはれる耳下腺炎はおたふく風邪のウイルスでなくても、ほかのウイルス(コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなど)でも起こることがあります。また、耳下腺の細菌による炎症や、頚部(けいぶ)のリンパ腺の炎症でも似たような症状(この場合は通常、おたふく風邪と違って、はれている部分が赤くなり、熱感があります)が見られます。
ときにこれらとおたふくかぜとの区別が難しいこともあります。
したがってご相談の場合、いくつかの可能性が考えられます。
予防接種をしていたのに関わらず、おたふく風邪になってしまった可能性。二度目のものは、おたふく風邪に似ているが別のウイルスによる耳下腺炎、あるいは頚部のリンパ腺炎であった可能性などが考えられます。
特におたふく風邪になりやすい体質と考えなくてもよいでしょう。
小児科を受診するときには、予防接種歴などは診断に重要ですのでお話しなさることが大切です。