中高生のインターネット利用の実態は?【第1回】ネット利用の実態とコミュニケーションに対する意識~中高生のICT利用実態調査2014より~

現在の中高生は、幼い時からデジタル機器やインターネットが当たり前にある環境で育ってきています。スマートフォンやパソコンなどのICTメディアを通じて、中高生の生活世界はどのように変化しているのでしょうか。

ベネッセ教育総合研究所では、ICTメディアの利用実態や意識を把握するため、2014(平成26)年2~3月に、中学1年生~高校2年生の約1万人を対象に調査を行いました。
この調査をもとに、3回シリーズで中高生のインターネット利用の実態についてレポートしていきます。
第1回では、中高生のオンライン上のコミュニケーションと意識について取り上げます。



メールなどのコミュニケーション利用は、高校生は9割以上
中学生は6割強にとどまる


ふだん、学校の授業以外でインターネットを利用しているのは、中学生で87.3%、高校生で96.9%でした。中学生では、まったく使っていない人も11.3%存在します。また、これをメールやチャット(LINEなど)、Twitter、SNS(Facebookなど)のコミュニケーション利用に限って見ると、高校生は9割を超えますが、中学生では64.8%にとどまります。中学生では、インターネットは使っていてもコミュニケーションには利用していない人が2割程度いるということになります。



中3女子の約3割が
休日のコミュニケーションに4時間以上費やしている

中高生はどのくらいの時間をインターネットに費やしているのでしょうか。インターネットの利用平均時間は、中高生とも平日約2時間、休日は約3時間でした。1日「5時間以上」の長時間利用者の割合は、中高生とも平日は1割、休日になると2割に増加します(いずれも「インターネット利用者」に占める割合と平均時間を表します。以下すべて)。
そのうち、コミュニケーション利用に限って見ると、利用平均時間は、中学生が平日約1時間、休日約1.5時間、高校生が平日約1.5時間、休日約2時間となっています。コミュニケーションの時間は、「15分くらい+30分くらい」の短時間利用者が多くなっていますが、休日には、コミュニケーションで「5時間以上」費やしている人も中高生ともに1割程度存在しています。




性別に見ると、中高生とも男子より女子のほうがインターネット利用時間が長い結果となりました。特に中3女子は、休日に、1日に合計「4時間以上」インターネットを利用している割合が43.7%、そのうち、コミュニケーション利用だけで「4時間以上」費やしている割合が28.1%となりました。調査時期が卒業前の2~3月であったことも影響していると思いますが、中3女子が最も活発にオンライン上のコミュニケーションをしていることがわかります。



では、そうしたコミュニケーションのツールとして何を使っているのでしょうか。メール(携帯メール・PCメール)・LINE・Facebook・Twitterについて尋ねた結果、中高生とも「LINE」が最も多く、次いで「メール」でした。高校生では「LINE」の利用率が9割に上ります。「Twitter」の利用も高校生で増えて、5割を超えます。
ツールは一つだけではなく、複数を使い分けている人も多いようです。組み合わせ別に割合を見たところ、中学生では、「メール+LINE」の併用が20.7%、高校生では、「メール+LINE+Twitter」(23.9%)、「メール+LINE」(23.4%)が多くなっています。




「インターネットで知り合った友だちがいる」のは、
中2~高1で約3割

次に、子どもたちがオンライン上でどんなつながりを持っているのかも見てみましょう。「クラスや部活の仲のよいグループの友だち」といった最も身近な友人とは、中学生74.8%、高校生93.5%と、コミュニケーション利用をしている人ならばつながるのが当たり前の状態といえます。では、「インターネットで知り合った人・友だち」はどうでしょうか。中高生とも24%がオンライン上の知り合いがいると答えています。最も高いのは中3女子の31.6%でした。
さらに、「インターネットで知り合った友だちがいる」人のうち、その人と直接会ったことのある割合は、中学生23.6%、高校生34.7%でした。これをインターネット利用者全体に占める割合で見ると、中学生5.8%、高校生8.4%となります。知り合ったきっかけは、中学生は「チャット(LINEなど)のグループ」高校生では「Twitter」が多くなっています。



メールやSNSを利用している高校生の半数が、
「メールのやりとりが嫌になることがある」

メールやLINEなどのオンライン上のやりとりについて、日頃どのように感じているのかについても調査しています。「メールがきたらすぐに返事を出す」のは、ネット利用者のうち、中学生63.3%、高校生59.8%(「とてもそう」+「まあそう」の計、以下同)で、多くの中高生がコミュニケーションを大切にしている様子がうかがえます。
しかしその一方で、「メールのやりとりが嫌になることがある」(中学生28.2%、高校生51.6%)など、煩わしさを感じている中高生も少なくありません。特に高校生では半数を超えており、アンビバレントな感情が垣間見えます。



「携帯電話やスマホは
コミュニケーションの力を伸ばすと思わない」が過半数

いまや、中高生のコミュニケーションに欠かせないツールとなりつつあるスマートフォンですが、中高生は、それらがコミュニケーション力にどのような影響があるととらえているのでしょうか。携帯電話やスマートフォンは、「コミュニケーションの力を伸ばすと思わない」と答えた中学生が54.4%、高校生が62.2%で半数を超えています(「どちらかといえば思わない+思わない」の計)。いずれも2008(平成20)年の調査時より増加しています。なお、2008(平成20)年はスマートフォンがなかったため、「携帯電話」についてのみ尋ねています。スマートフォンの登場により、LINEやTwitterでの短文のやりとりやスタンプ(LINEで提供している、気持ちを伝えるイラスト)の送信などが増えたことなど、コミュニケーションの形が変化したことの影響があるのではと考えられます。

多くの中高生にとって、スマートフォンなどを使ったオンライン上のコミュニケーションや情報収集はごく日常的なこと。既にICTメディアが特別なものではないゆえに、メディアの便利さやメリットを手放しで評価する声よりも、比較的冷静に見ている中高生が多いのでは、と推察されます。今後のICTメディアのさらなる普及が、中高生の生活や意識にどのような変化をもたらすのか、今後も、調査を進めていきたいと考えています。

※学年は、調査実施時(2013<平成25>年度)の学年を表す。


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