年収によって変わる保育園の費用!ズバリ平均おいくら?

近年、保育園を増設してもまだ足りないという待機児童問題が、都市部における重大な課題として残されています。
ところがいざ入園が決まると、「あれ、保育料ってこんなに高かったの?」「妻のパート代のほとんどが保育料に消えていく」といった声がちらほら聞かれることも。そこで、これから子どもを保育園に入れたいかたも、すでに保育園に入れているかたも、改めて「保育料」について確認していきましょう。


保育料は何で決まるの? 4つの要素

 保育園に入園できたとして、保育料はどのようにして決まるのでしょうか? 保育料を大きく左右する4つの要素についてみていきましょう。

 

1)世帯所得

世帯所得とは、同じ世帯の所得を合算した金額になります。シングルマザーやシングルファーザーであればひとり分ですが、夫婦であればふたり分の所得を合わせたものが世帯所得になります。まず、所得と収入の違いについてご説明しましょう。所得とは、自営業者であれば売上(収入)から経費を引いたもの、会社員であれば収入から給与所得控除(=会社員の経費として税法上定められたもの)を引いたものになります。

 

保育料は、この世帯所得をもとに計算される住民税の一部の金額(所得割課税額)から決まります。2014年度までは所得税が基準でしたが、2015年4月から始まった新制度により、住民税が基準とされました。個人の住民税は各自治体が把握しているため、自営業のパパやママが保育料算定のために確定申告書を提出しなくても、算定されるようになったのです。

 

それでは、世帯所得はどのようして決まるのでしょうか。下記の図「国が定める利用者負担の上限額の基準(月額)」(※1)のように、国は、生活保護世帯、市町村民税非課税世帯、所得割課税額6段階の計8階層に、基準となる上下額を示しています。自分の住民税がどの階層なのかによって、保育料が決定するしくみであることがわかるでしょう。つまり、同じ保育園で同じクラスでも、親の所得(厳密にいうと、住民税の中の所得割課税額)によって支払う保育料が異なります。

 

国が定める利用者負担の上限額の基準(月額)

※給付単価を限度とします。

※新制度移行時点の保育料等の額が市町村が定める利用者負担よりも低い私立幼稚園・認定こども園については、従前の水準を基に各施設で定める額とすることも認められます(経過措置)。


※給付単価を限度とします。

※満3歳に到達した日の属する年度中の2号認定の利用者負担は、3号認定の額を適用します。

 

 

2)自治体

そして、保育料がややわかりづらいのは、上記の表はあくまで国の基準にすぎないからです。これを目安に、各自治体が金額を設定してよいことになっています。そのため、どこに住んでいるかによって保育料に差が出るのです。
各自治体とも、住民税の金額によって階層別に保育料を定めているという点は同じですが、その金額はもちろん、何階層に分けているのかもそれぞれ異なっています。

 

東京都新宿区、兵庫県神戸市、福岡県福岡市の3つの自治体を、平成27年度の保育料で比較してみました。下記の図「3つの自治体の保育料例(保育標準時間の場合)」(※2)は、所得割課税額が37万円以上の場合になります。細かいところでかなり違いますよね。傾向としては、東京23区は細かく階層が分かれているのに対して、地方では階層区分が少なく設定されているようです。


 

3)子どもの年齢や人数

上記の図の比較表のように、保育料は3歳未満の子どもの方が、3歳以上の子どもよりも割高になる自治体が多く見られます。これは、国が基準として、0歳児は概ね子ども3人に保育士1人〜、1・2歳児は子ども6人に保育士1人〜、3歳児は子ども20人に保育士1人〜といった、保育士の配置の目安を定めているから。子どもが小さいほど保育士の数が必要となるので、保育料が高くなります。

 

また子どもの数によっても、保育料が変わってきます。同じ世帯から2人以上の子どもが同時に保育園に入っている場合の保育料は、2人目から割安になります(国は2人目について半額を目安としています)。ちなみに前述の3自治体では、図の( )内の額が2人目の金額に該当します。さらに3人目以降の子どもについては、3自治体ともに無料です。

 

4)保育時間

「子ども・子育て支援新制度」では、保育時間によって異なる保育料が設定されるようになりました。「保育が必要」と認定されたご家庭は、さらに2つに区分されます。フルタイムの労働を想定した「保育標準時間」(最長11時間)と、主にパートタイムの労働を想定した「保育短時間」(最長8時間)です。「保育短時間」利用が可能となる保護者の就労時間の下限は、1ヵ月あたり48〜64時間の範囲で各自治体が定めます。どちらに区分されるかによって、保育料が変わってくるのです。

 

また、保育標準時間認定の場合、各施設・事業者が定める「通常保育を行っている時間帯」の範囲内であれば、最大11時間まで追加料金なしで子どもを預けることができます。逆に言えば、預ける時間帯によっては追加料金が必要になるということ。例えば、通常の保育時間が終了した夜間などは、別途、その自治体が定めた延長保育料がかかります。延長保育料を月極めとして決めている保育園も多く、延長保育を利用する場合は保育料に上乗せされます。

 

 


年収によって変わる保育料、平均は約2万円!

 ここまで、世帯所得と居住する先の自治体、子どもの年齢・人数、預ける時間帯によって保育料が変化することをご紹介してきました。では結局、みなさんはどのぐらい保育料を払っているのでしょうか?

 

厚生労働省の「平成24年地域児童福祉事業等調査」(※3)によると、児童1人あたり月額保育料では、「2万円以上3万円未満」が 31.9%と最も多く、次いで「1万円以上2万円未満」が23.6%となっています。子どもの人数が多い世帯では、子どものひとりあたりの保育料は低くなりますが、1世帯の児童ひとりあたり保育料の平均値は20,491円です。

 

平成24年地域児童福祉事業等調査


保育料の減免制度など 保育費計算時の注意点

 保育料の支払いが難しいご家庭には、保育料を減免する制度があります。その詳細は各自治体によって異なりますので、注意が必要です。ここでは、東京都板橋区の主な該当例の一部をみてみましょう。

 

1)生活保護及び中国残留邦人等支援給付世帯になったとき

2)その年の世帯の収入額が生活保護法の基準に満たないとき

3)住民税の徴収が猶予または、納期が延期されたとき

4)今度分の住民税が均等割以下に課税されたとき、または、減額されたとき

5)災害または、盗難等による損失が生じたとき

6)高額医療費がかかったとき

7)その年に子どもが生まれた等で扶養される世帯員が増えたとき

8)その年に稼働者が失業したとき                 など

 

要するに、収入が減ったり、災害にあったり、病気になったり、失業したり…と保育料を払い続けるのが困難な事態に陥ったときは、自治体へ相談してみる価値があると言えるでしょう。

 

また、「子ども・子育て支援新制度」においては、「保育が必要」と認定されてから保育料が決まります。「保育が必要」と認定されるには、就労のほかにも、妊娠・出産、保護者の疾病や求職活動など、さまざまな理由があります。

 

しかし、もし「保育が必要」と認定されない場合においても、「無認可」の保育園に入園する手があります。とはいえ無認可の保育園は、基本的に公的な補助がないことから、認可保育園と比べると保育料がさらに高く設定されている場合がほとんどです。預ける時間や日数、年齢などによって、保育料が変わるなど、無認可保育園の独自の制度がありますので、よく調べてみましょう。

 

 

現在は、スタートしたばかりの新制度によって保育園のあり方が変化している最中なので、わかりづらい点があるかもしれません。ただ「子ども・子育て支援新制度」とは、消費税率引き上げによる増収分を活用し、社会全体で子育てを支え、各自治体が子育て支援を行うという目的のもの。そのため、子どもを保育園に預けたい(預けている)ママ・パパたちは、これがどのような制度なのか、「保育料」はどのように決まるのか、利用者としてしっかり把握したいものです。もしも不明点や疑問点が出てきたら、自治体にたずねましょう。

 

*ここで紹介する情報は2016年1月時点のもので、変わることがあります。

 

 

参考:

※1(国が定める利用者負担の上限額の基準(月額))

http://www8.cao.go.jp/shoushi/
shinseido/faq/pdf/jigyousya/handbook.pdf

 

※2(3つの自治体の保育料例(保育標準時間の場合))

・東京都新宿区

http://www1.g-reiki.net/shinjuku/
reiki_honbun/g105RG00000992.html

・兵庫県神戸市

http://www.city.kobe.lg.jp/child/
grow/shinseido/riyousyahutan_23.pdf

・福岡県福岡市

http://www.hoiku.or.jp/about/
charge/h27.html

 

※3(平成24年地域児童福祉事業等調査)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000070135.pdf

 

 

プロフィール

執筆&監修:八木陽子

株式会社イー・カンパニー代表 ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士 「お金は生活に必要なものなのに、なぜ、話す機会が少ないのだろう?」という疑問から、堅いお金の話を楽しく分かりやすく伝えることを決意。現在までに延べ900件以上の家計診断・相談を行う。雑誌やWeb等にて連載を持つほか、情報番組など多数メディアに出演。

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