【医師監修】赤ちゃんが後追いをする原因は?いつからいつまで続く?対処法を解説

赤ちゃんの成長過程における悩みのひとつ、「後追い」。生後9カ月頃から起こることが多く、早い赤ちゃんであれば生後半年過ぎ頃から起こる場合もあるようです。多くの場合、1歳半から2歳頃まで続きます。
そんな後追いについて、「いつまで続くんだろう……」と不安を感じているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、一般的な後追いの理由、時期や対策法などについて、東京医科大学にて教授をされている山中ドクター監修のもと、解説していきます。

この記事のポイント

赤ちゃんの後追いとは? その理由は?

後追いとは、ハイハイやつかまり立ちができるようになり行動範囲の広がった赤ちゃんが、保護者のかたが視界から消えたとき、後を追いかける行動を指します。後追いが始まると、赤ちゃんはどこにでもついてこようとし、障害物があっても後追いをしてくるため目が離せなくなります。
洗濯物を干している間やトイレに行く間のほんのひとときでも、ときには大声で泣きながら保護者のかたを探し回るので、保護者のかたが疲れてしまう場合や「ケガをするんじゃないか」と心配になってしまう場合も多いでしょう。

◆赤ちゃんはどうして後追いするの?

後追いは、ママやパパといった長い時間ふれあう保護者のかたに愛着や信頼感が芽生え、特別な存在だと認識できるようになることをきっかけに始まると考えられています。そのため、少しでも視界からいなくなると大きな不安を感じ、泣き出したり探し回ったりするのです。
後追いは、保護者のかたと他の人を区別できるようになった成長の証でもあるのです。

◆後追いはいつ頃始まっていつ頃まで続くの?

早いお子さまなら生後6カ月頃から後追いが始まります。生後9カ月から11カ月頃、ハイハイが上手になる頃に本格化し、1歳半から2歳くらいのあいだに落ち着くお子さまが多い傾向にあります。
徐々に保護者のかたの存在を認識し、少し離れても必ず自分の元に戻ってくるんだと記憶すれば、自然と離れていても平気になっていきます。また、言葉の理解が進むと、「待っててね」などの声がけが有効に働きます。
後追いの期間には個人差があります。弟・妹ができるなどして2歳以降でも後追いを始めるお子さまもいますし、反対に全く後追いしないお子さまもいます。なかなか後追いが落ち着かなくても、他のお子さまと違っていても不安になることはありません。これもお子さまの個性だと、温かい目で見守りましょう。

※2023年10月に行った「保護者の方向けアンケート」(408人回答)に寄せられた体験談より作成

後追いの対処法

後追いはいつかは終わるものとわかってはいても、それによって疲れたり心配したりで負担に感じる保護者のかたもいらっしゃるでしょう。そこで、少しでも楽になる対処法を以下でご紹介します。

◆こまめに声をかける

先に述べたように、赤ちゃんはかけがえのない存在である保護者のかたが消えてしまったと感じ、不安で泣きながら追いかけるのです。そのため、「いつも一緒だよ」と安心感を与えるために、声をかけてあげることはよい対処法といえます。
いきなりいなくなるのではなく、「トイレに行ってくるよ」など離れる前に声をかけ、離れている間に泣き出したら「ママはここにいるよ」と言葉をかけます。戻ってきたときには「帰ってきたでしょ?」とやさしく抱きしめてあげましょう。
必ず戻ってくるんだと記憶させることで、徐々に不安は和らいでいくでしょう。

◆家事は完璧にやらなくてもいいと考える

後追いが激しい時期もふだんと変わりなく家事をやらなきゃと思い込むと、より自分を追い詰めてしまうことになります。後追いは一時的なものだと割りきり、家族にも理解してもらいながら適度に手を抜くなどの対処法をとるとよいでしょう。
朝必ずやらなくてはいけないと思っていた洗濯の時間を変える、ご飯を作らなくてはいけないという意識を改め、出前やできあいのものを取り入れてみるなど、できる範囲で少しでも自分が楽になる方法を考えてみましょう。

◆抱っこ紐やおんぶを活用して、好きなことをする

ストレスや疲れをためすぎないようにするには、保護者のかたが自分の好きなことをする時間を持つことも大切です。その際、抱っこ紐で抱っこやおんぶをするのがおすすめです。赤ちゃんをおんぶしながら、お気に入りのカフェで一息ついたり、好きなドラマを見たり、好きな音楽を聴きながら公園を散歩するのもいいですね。いつでも赤ちゃん最優先で自分のことを後回しにしてしまうと、ストレスもたまってしまうもの。忙しい中でも、リフレッシュの時間を持つようにしていきましょう。

◆とことんベタベタさせてあげる

保護者のかたが離れようとすればするほど、後追いがひどくなることもあります。今だけのことと割りきり、後追いする赤ちゃんと追いかけっこして遊ぶ、トイレに入っている間、扉を開けっ放しにするなど、とことんベタベタさせてあげるのが解決の近道になることも。
成長するにつれて一人で遊べるようになりますので、今は常に一緒にいて安心させてあげるのもよいでしょう。いずれ離れていくお子さまを見て、寂しいと思える日が来るかもしれませんね。
ただし、危険をともなうキッチンやベランダなどには立ち入らせない、危険なものを手の届く範囲に置かないなど、工夫も必要です。ベビーフェンス(柵)などを活用するのも一助となるでしょう。

【先輩パパママ体験談】後追いにはどう対処した?

先輩パパママのみなさんに、後追いへの対処法で効果的だったことをお聞きしました。
後追いの対応で何か適切かは、お子さまにもよるため難しいところですが、ぜひ他の保護者のかたの体験談を参考に、いくつかトライしてみてください。そして、保護者のかたが少しでも休養できるよう心がけてくださいね。

赤ちゃんを安心させるよう工夫した

アパートでベビーゲートで区切っていて、トイレに行く際には、ベビーゲートにつかまり立ちして覗き込む子どもに、いないいないばあと言いながら少しずつ離れていき、トイレの中でも、いないいない…まだいないいない…まだかなまだかな…ばあ、という感じで遊んでるように見せかけて離れたりしていました。(島根県)

わりと声はかけるようにしていました。「トイレ行くねー」とか「あっちの部屋に行くね」とか。だんだん子供があちこち行けるようになると、トイレはあそこ、あっちにも部屋があるとかわかるようになって、それで安心し始める気がします。(東京)

声かけをすることと、おもちゃなどで気をそらしたりしていました。「待っていてくれてありがとう」と目をみて話しかけ、ぎゅっと抱っこして安心させるように気を付けました。(沖縄県)

分からないだろうと思いつつも、ママはおしっこしたいからトイレにいってくるねー!と説明してから移動していました。何となく理解したような顔をしてくれます。(北海道)

「ママ、トイレに行ってくるね。お歌が終わるころに戻ってくるね。」と言って歌を流し、戻って来たら「戻ってきたよ。」と言って抱っこをしていました。(福岡県)

赤ちゃんが他のことに集中するように工夫した

砂時計を見せて、砂が落ちる前に戻るように伝えました。落ちる砂を見つめる事に夢中になり、後追いをしなくなりました。(兵庫県)

ぬいぐるみが大好きだったので いちばんお気に入りのぬいぐるみと遊ばせたり、好きな子ども番組を夢中で観てる間に用事をしました。(大阪府)

おもちゃで一緒に遊んで、夢中になった辺りでゆっくりフェードアウトしていました。(東京都)

好きなだけ後追いさせた

後追いは信頼関係が育っている証だと思っていたので、止めずにもっと信頼関係を深めるチャンスと捉えました。周りの環境を整え、好きなだけ後追いできるようにしました。どうしても離れる必要がある時は声かけをしましたが、泣くこともあるので、その後に充分スキンシップをとっていました。(福岡県)

※2023年10月に行った「保護者の方向けアンケート」(408人回答)に寄せられた体験談より。

今しかない後追い期間を無理なく過ごしましょう

後追いが激しい時期は辛いことも多いと思いますが、どうか後追いをするお子さまに対してイライラしてしまう自分を責めたり、家事などを完璧にできない自分を追い詰めたりしないでください。
後追いは今しかしないもの、長い目で見れば短い期間のことだと思って、一緒に遊びを楽しむ余裕を持ち接することができるとよいですね。

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プロフィール



子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さんの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

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