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学習習慣作り

集中して取り組むことができるように、こんな工夫をしました

その子の集中できる大好きなことをうまく利用して、好奇心を伸ばしてあげることが、大きな力になると思います。

M.Eさん Yくん (体験談当時の年齢:3歳0ヵ月頃〜6歳0ヵ月頃 男 第1子 大阪府)

その当時の子どもの状況と私の気持ちはこうでした

遊びの移り変わりも激しく、おもちゃもお友だちが持っているものに次々興味が移り、あまり遊びにならないような感じでした。社交性では問題がなかったので、好奇心がおう盛なのかなと理解するようにはしていましたが、もうちょっと落ち着いて遊んで欲しいと思っていました。

このようなやり方を取り入れたら、こんな効果がありました

好奇心おう盛で行動的か、落ち着いてジックリ取り組むタイプか・・・両方を望む方が欲張りだなと思い、むしろ社交的な面、好奇心を伸ばす方向に考えるようになりました。そして、動物にふれあうことができたり自然がいっぱいで遊具のあまりないような公園に出かけたり、決まったお友だちと広い公園に出かけたりしました。動物やお友だちは、ときとして粘り強く接しないといけない場面も多いですし、遊びをお友だちと共有することの楽しさも知ることができるかなというねらいもありました。また、お友だちのママたちとの交流も励ましになりました。唯一集中することがお絵かきだったので、お絵かきをしているときは声をかけないようにして、集中力を養うよう配慮しました。また、そのお絵かきの中に、公園で観察してきた虫や動物なども取り入れたりすると、公園での自然観察も集中するようになったように思います。最初は絵だけだったのですが、だんだんと観察日記のようになっていき、立派な作品ができるようになりました。

現在の子どもの様子と私の気持ちはこんな感じです

いまだに落ち着きはないのかもしれませんが、あまり気にならなくなりました。<チャレンジ1年生>も毎日決まった時間に決まった量、自分から進めることもできますし、問題ないと思います。むしろいろいろ悩んだ末に始めた自然観察や動物とのふれあいによって、今では観察日記を鋭い視点、独自の発想で製作することができるようになったことを誇りに思います。独自の観察眼、表現できる力は、学校の先生にもなかなか養えない難しい力だとうかがいました。落ち着きがなかったゆえ養えた力かなと思います。

同じ悩みを持つおうちの方へのエール

落ち着きがないというのはマイナスのように聞こえるかもしれませんが、ほとんどが好奇心の表れで、1日24時間のできる限りの時間とエネルギーを興味の対象に注いでいる頼もしい姿なのではないでしょうか・・・。その子の集中できる大好きなことをうまく利用し、好奇心をもっともっと伸ばせるようにしたら、とても大きな力になると信じています。

学習習慣の素地作り

沢井 佳子 先生

「遊び」がすべての幼児期。でも、「園」に入ってしばらくたつと、「勉強」「学習」ということが気になる保護者のかたもいらっしゃるのでははないでしょうか。幼児期にこんなことに気をつけておくと、「学習」に関しても、いい影響がもたらされるということを保護者のかたにお伝えしたいと思います。

就学すると「さあ、みなさん○○をしましょう!」といった先生からの指示を「聞いて」⇒「理解し」⇒「行動する」ということが求められます。この最初のステップの「注意して聞く」能力は、その先の対人コミュニケーションや学習など全ての基本となります。そしてこの「注意して聞く」態度を身につけるには、幼児期における、おうちのかたの働きかけや環境作りがとても重要なのです。

「え?『聞く』なんてうちの子できてるわ」とお考えになるかたもいらっしゃるでしょう。が、最近は「今、しっかり見ておかなくても、あとでまたビデオで見られる」という意識があったり、オーディオ・テレビ・ゲームなど、ともすると子どもの情報処理能力を上まわる刺激に囲まれて、お子さんが育っている例がとても多くなっています。そうすると、「今、しっかり聞かなくては(見なくては)」という経験がとぼしくなりがちですし、さらに耳や目に入ってくる情報を『聞き流す・見過ごす』ような態度が作られてしまうのです。私たち大人も、必要な情報を聞き取るためには、不要な音や映像を無意識のうちに聞き流し・見過ごしていますが、そうした大人の聞き流しは、重要情報を選ぶ注意力のフィルターを通して、おこなっているのです。しかしながら、認知の発達が過渡期にある子どもたちを、常にこのような「聞き流し・見過ごし環境」に置いておくのは好ましくありません。小学校に入って「先生の話を聞けない子ども」というのは、「先生の声が聞こえても、それに『注意を向けて聞き取る』ように訓練されていない子ども」だという場合もあるのです。

じゃあ何の音も映像もない環境で育てれば安心なのか?というと、もちろんそうではありません。やはりできるだけ多くの経験や多くの情報に触れさせて、子どもの世界観や好奇心を大きく広げてあげたいと思うものですよね。ビデオやテレビやCDも、もちろんそれを助ける有効なメディアです。

おうちのかたのひと工夫で、ビデオやオーディオに囲まれた生活を「聞き流し・見過ごし環境」にしてしまわずに、「多くの情報の中から、必要な情報を注意して聞く」訓練の場にすることができます。そのひと工夫とは、ビデオなどを、お子さんと一緒にご覧になりながら、場面ごとに、 おうちのかたが笑ったり、驚いたりする視線・表情や「これはおもしろいね!」「すごいね!」といった解釈を与えてあげることです。そうすることにより、お子さんは「音声や映像のシャワー」だった部分にも、注意を向けて「これは大事なんだ」「これはおもしろいんだ」「すごいな」などと「意味をもった情報」として消化することができるようになるのです。このようにして「必要な情報に注意をむけ、聞き取る」態度を幼児期に育くんでおくことは小学校に入学してから「自分で考えて行動する」ことが求められる時期にむけての大切な準備だといえるのです。

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