小学生同士がコーチングにチャレンジ!その成果は?[やる気を引き出すコーチング]

先日、学校教育の現場でコーチングを実践している先生と久しぶりに再会しました。

「小学校6年生を受け持つことになりまして、それが実は、クラス内の人間関係があまりうまくいっていなかったんです。『どうやって解決しようかな?』と最初は思いましたが、やっぱり、今回もコーチングを導入してみることにしました。
以前、中学校勤務の時、中学生に試して効果的だったというお話をしたと思うのですが、『小学生はどうだろう?』という思いが正直ありました。でも、やってみたら、すごく成果が出たんです!クラスの雰囲気がよくなりましたよ。子どもたちの学習への興味も高まりました」

「それはすばらしいですね!いったい、どんな実践をされたのですか?」
ここは、詳しく聞かずにはいられません。

ペアになって話を聴き合う

「一日の終わりの時間に、子ども同士、二人組になって、話し手と聴き手を決めます。
『今日の授業で何が一番勉強になったか』などについて、各々に話すんです。時間を決めて役割交代をします。聴き手は、自分の話はせず、相手の話を聴きます。質問はOKとします。そういうルールは最初に説明しておきます。『こうしたらいいよ』と教えるのではなく、相手の考えを引き出すのがコーチングだよと説明します。

日によって、テーマを変えてやってみました。例えば、『やろうと思っているのになかなかできずにいること』とか『今学期、がんばりたいと思っていること』などです。
相手が話しながら、『そうか!わかった。こうしてみる!』と気づいたりすると、聴き手の子もすごく嬉しいらしいんです。『やった!答えを引き出せた!』とすごく喜んでいます。

ペアも、都度、変えてやってみました。『じゃあ、今日は、同じ班じゃない人と組んで!』とか『ふだん、あんまり話さない人と組んでみよう!』と声をかけて、なるべく、クラスの子どもたち全員がコミュニケーションをとれるようにしました。

最近は、子どもたちのほうから、『先生、今日はコーチングやらないんですか?』と言い出すようになり、コーチングの時間をとても楽しみにしているようです。小学生にもできるんですよね。子どもたちも、実は、誰かのやる気を引き出したいという気持ちを持っているんだなと思いました。それができると喜びを感じるようです。クラスの雰囲気は格段によくなりましたよ!」

子どもがコーチングをする効果

この先生のクラスの子どもたちは、なんて幸せなのだろうと思いました。
小学生の頃から、「相手の話をじっくり聴く」(傾聴)、「相手が自分で考えるような問いかけをする」(質問)、「相手のよいところを見つけて伝える」(承認)などの習慣が身についていたら、きっと、いじめなどは起こらないはずです。

自分の関わり方によって、相手が課題を解決していく姿を見たり、自分の話を聴いてもらっているうちに自分の内側で気づきが起きていくのを感じたりすると、きっと喜びや楽しさを感じることでしょう。自分の学びを誰かに話すことで学習内容の理解も深まりますし、「もっとこんなことも学んでみたい」という興味が引き出される効果も当然あります。
自分の考えを自分の言葉で話すトレーニングとしても、非常に効果的です。これなら、子ども一人ひとり全員と対話をする時間がとれない先生でもできそうです。

もちろん、ご家庭でも十分応用できるでしょう。話し手、聴き手を決め、ルールとテーマを確認して各々に話をし合うのです。こちらが子どもをコーチングするばかりでなく、子どもにコーチングをしてもらうのです。「大人の気づきを引き出せた!」という体験は、子どもの自己肯定感ややる気を大いに高めるでしょう。
ぜひ、多くの教育現場、ご家庭で試してみていただきたいなと思う事例でした。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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