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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - 呼吸器の病気・風邪
RSウイルスに感染していたようで、肺炎で入院しました。風邪から肺炎に進行しないために、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
先日肺炎で1週間入院しました。RSウイルスに感染していたようで、このウイルスに感染すると風邪から、肺炎に移行しやすいと聞きました。肺炎をしょっちゅう繰り返す子もいるらしいのですが、なりやすい体質などあるのでしょうか?
また、今回初期の風邪の症状のときから、小児科を受診していたのにもかかわらず、悪化して肺炎になってしまいました。肺炎に進行する前に、気がつくことは可能なのでしょうか? 気をつければよい点などあれば教えてください。
安静、睡眠、栄養をとって風邪に打ち勝ち、肺炎に移行させないようにしましょう。
RSウイルスのRSというのはRespiratory Syncytial Virusの頭文字をとってRSと言っています。
Respiratoryの意味は呼吸器という意味で、呼吸器系に影響するウイルスということになります。子どもの呼吸器系の病気(気管支炎、肺炎など)を起こす最も多い原因ウイルスのひとつです。
もちろんRSウイルスだけでなく、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなども呼吸器系の病気を起こしやすいウイルスです。
通常は風邪のような症状で、せき、鼻水、発熱などで治まりますが、ときに気管支炎、細気管支炎、肺炎といった気管の奥の方にまで感染が起こり、発熱、せき、呼吸困難などの症状を起こしてしまいます。
特に肺炎になりやすい体質といったものはありませんが、生まれつき免疫力が弱い病気をもっていたり、免疫を抑制するような薬を服用していたり、ほかのウイルス感染(例えば麻疹:ましんなど)を合併していたりしていて、免疫力が弱まっているようなときには、肺炎などに移行しやすくなります。
このような状態でなければ、風邪だなと思ったら、外出を避け、体力を消耗しないように安静を保ち、睡眠を十分とって、水分や消化のよい栄養を十分にとるようにしてください。
RSウイルスに対するワクチンは現在のところ実用化されていません。最近、ワクチンではありませんが、RSウイルスに対する抗体(シナジス)を毎月注射する方法があり、保険適応になっています。対象は、未熟児、心疾患、呼吸器疾患などをもつ乳児です。特効薬は開発されていませんので、少しでも免疫力を上げて風邪に打ち勝つことです。
高熱が続く、せきが激しい、ゼーゼーする、小鼻がぴくぴくとして苦しそうという場合は、気管支炎や肺炎を思わせる症状ですので、小児科を受診してください。