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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - 呼吸器の病気・風邪
車の排気ガスなどで汚れた空気の中で生活していると、人体にどのような影響が出るのでしょうか。
現在、1歳9ヵ月の娘と海外に住んでいます。都市部ということもあって車の排気ガスなどで空気もかなり汚れています。一年中暑い国なのでクーラーが欠かせないのですが、クーラーのフィルターは半月で真っ黒です。家の造りも粗末なので外に面している場所はすき間からの排気のススのような黒いもので汚れています。こんな中で毎日生活して1年が過ぎました。
たまに娘の泣くときの声が気管が悪いのかな?と思えるような気になる声のときがあります。こういう排気ガス混じりの汚れた空気の中で生活していると、人体にどのような影響があるのでしょうか?
環境汚染は人だけでなく地球上のあらゆる動物や植物に、病気や障害などの影響を及ぼしています。可能な限り、汚染を避けるための工夫を行い、体内に入れない配慮をする必要があります。
環境汚染の問題は全地球的な規模で考えなければなりません。ひと口に環境汚染物質と言っても、さまざまな物質が挙げられています。
代表的なものは二酸化硫黄(SO2)一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、光化学オキシダント(OX)、浮遊粒子物質などの化学物質、ベンゼン類のベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど、さらにダイオキシンなどがあります。最近は、中国でのPM2.5も問題になっています。
これらは車の排気ガスだけでなく、さまざまな工業産業過程で大気中に排出されています。これらの物質が生体に悪影響を及ぼすことは明らかですので、大気中の濃度がある一定以上にならないように厳しい規制が設けられるようになりました。
しかし、各国の経済事情、工業力事情、国民の環境に対する意識などが異なるために現時点では環境汚染の状態は異なっています。
人体に及ぼす影響はさまざまです。
汚染した空気を吸うことによる呼吸器系の病気、ぜんそく、汚染物質が皮膚にふれることによるアトピーや皮膚障害、酸性雨などによる皮膚障害、光化学スモッグなどによる頭痛、めまい症状などが知られています。
このほか口から飲み込まれる場合もあります。因果関係が明らかにされていませんが、さまざまな影響があると考えられています。
このような環境の中に住んでいる場合は自分だけがきれいな環境に住むことはできませんので、できるだけ悪い環境から逃れることが一番です。防護マスクやゴーグルなどは外気を遮断するにはよいですが、毎日では実用的ではありませんし、赤ちゃんには無理なことだと思います。
特に汚染のひどいときや、光化学スモッグが発生しているときには外出を控える、外から帰ったら体を洗う、衣服をきれいに洗う、うがいをする、雨に当たらないようにする、ぬれたタオルなどで鼻を覆うなど、汚染を避けるために考え得る、できる限りの防衛手段を行うしかないと思われます。