ビッグデータで確かめるデジタル教材の学習効果!

連載「勉強が続く! わかる! 『ビッグデータ』時代の家庭学習」の第4回。今回は、「ビッグデータ」が「デジタル学習教材の開発」や「学習効果の検証」に、どのように使われているのかをお伝えします。
取り上げるのは、進研ゼミ『歴史人物つながりバトル42』。制限時間内で関連のある歴史人物のカードを組み合わせて対戦し、ステージをクリアしていく形式の小学6年生~中学1年生向け学習アプリです。ゲーミフィケーションの手法を使って歴史を楽しく学べ、「源頼朝」「足利義満」「足利義政」「徳川家康」「徳川家光」の5枚のカードを組み合わせて「征夷大将軍」コンボを決めたときは爽快です。

この教材の開発と検証に取り組むベネッセコーポレーション、ハイブリッド開発推進部の高橋洋輔に、教材開発の工夫について話を聞きました。

Q.歴史の学習アプリを開発する際に、どのようなデータを使いましたか?
—進研ゼミには長い歴史があり、学習に関するデータが蓄積されています。例えば小学校の歴史学習では、「陸奥宗光」と「小村寿太郎」についての問題をまちがえる子どもがたくさんいます。両者の区別がつかずに、混同している子どもが多いということが、すでに全国的なデータでわかっていました。同様に、「行基」と「鑑真」についても、まちがえてしまう子どもの割合が高い。

—小学校の歴史学習は、人物調べを中心に進められます。その人物がどのような生き方をしたのかということから、その時代の政治や経済、文化を学びます。ところが、小学生はもともとその時代の知識を十分にもっていないので、その人物だけを区別して覚えることが難しい。そこで、人物をイラストでイメージしやすくし、人物どうしのつながりを学ぶことで、歴史の全体像を理解できないかと考えました。このように過去のデータを参考にしながら、カードゲーム方式の学習アプリを作りました。

Q.ビッグデータから見える学習効果とはどのようなものでしょうか?
—教材の効果を検証するため、学習アプリに「取り組んだグループ」と「取り組まなかったグループ」に分け、進研ゼミの講座内の歴史人物に関する問題の正解率を比較しました。その結果を成績別に見たところ、「取り組んだグループ」は「取り組まなかったグループ」に比べて、成績上位層で4.0%、中位層で8.4%、下位層で9.4%、正解率が高いことがわかりました。成績が低い子どもほどアップ幅が大きいのは、楽しく学んで意欲が持続できるゲーミフィケーションの効果かもしれません。

—興味深いことに、人物とは直接関係ない問題についてもわずかながら正解率の向上がみられました。学習アプリに取り組むことでその時代についての理解が深まり、学習内容全体にプラスの効果があったと考えられます。

—さらに、学習アプリにくり返し取り組んだ子どもほど、テストの成績の伸びが大きいこともわかりました。図2は、3月の進研ゼミのテストで社会科の点数が平均未満の子どもたちを抽出し、学習アプリの取り組み日数によって8月のテストがどう変化したかを示したものです。アプリに取り組まなかった子どもは38.2%しか平均点以上をとれなかったのに対して、月3日以上取り組んだ子どもは52.6%が平均点以上をクリアしました。

Q.データを分析してみて、意外な発見はありましたか?
—学習アプリにくり返し取り組むことで成績が上がるという事実は、当たり前かもしれませんが、教材の学習効果が確かなことを示しています。このように学習効果が確かめられるようになったことは、ビッグデータを活用する大きなメリットです。それ以外にも、データを検証するなかで、この学習アプリならではの発見がありました。それは、アプリ内にある「二人でバトル」モードの効果です。

—「二人でバトル」モードは、家族や友達と楽しく取り組んでもらえればという思いで搭載しました。このモードを使って他の人と対戦をしている子どもほど、何度も学習アプリを使い、成績を伸ばしていることがわかりました。現在の進研ゼミには、他の人と対戦するようなゲーミフィケーションの機能はあまりありませんが、そうしたことが成績向上につながるという結果は、私たちにとって驚きでした。

—私たち大人は、ともすればストイックにがんばることこそが、学力の伸びをもたらすと思いがちです。しかし、楽しく取り組むこと、さらに、近しい人と対話をしながら学ぶことが、理解を深め、学力を伸ばすことに効果的だということがわかりました。こうしたビッグデータ分析から得られる発見を、次の教材づくりに生かしていきたいと考えています。

プロフィール

高橋洋輔

高橋洋輔

ベネッセコーポレーション ハイブリッド開発推進部
入社後,進研ゼミの小学講座編集、高校講座編集を経て、タブレット学習の新講座開発を担当。歴史をこよなく愛し、自分が子どもの頃に欲しかった教材をつくることに心血を注ぐ。パソコンのデスクトップは中世の世界地図。

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