オープンキャンパスでは「大学改革」もチェック!

いよいよ夏休み。高校生のお子さんの多くは、大学のオープンキャンパスを回る計画を立てていることでしょう。まずはその大学の雰囲気を感じ取るのが第一ですが、カリキュラムや入試などの説明を聞く際、ぜひ注目してほしいことがあります。その大学が近い将来、どう変わろうとしているかです。というのも今、どの大学にも改革が迫られているからです。

入試だけじゃない「三つの方針」

大学受験を意識する生徒なら、「アドミッション・ポリシー」(入学者受け入れの方針=AP)という言葉を見聞きしたことがあるでしょう。今や入学願書の冒頭には、必ずといっていいほど書かれています。その大学や学部が求める学生像を明記するものですが、少し抽象的で、つい読み流してしまうかもしれません。

そんなAPも、徐々に変わっていくかもしれません。文部科学省が今春、APはもとより「教育課程編成及び実施の方針」(カリキュラム・ポリシー=CP)、「卒業の認定に関する方針」(ディプロマ・ポリシー=DP)を策定するよう、各大学に義務付ける省令改正を行ったからです。

しかも、三つの方針は関連し合っているだけでなく、DP→CP→APという順番があります。その大学が社会から信頼される存在になるためには、まず、社会に送り出したい卒業生像をDPによって明確にしておくことが必要です。そんな卒業生を4年間で育てるにはどうしたらよいかを決めるのが、CPです。そして、そうした教育にふさわしい学生像をAPに表現し、実際に入学させるための入試方法を工夫してもらおう……というわけです。

保護者世代までの大学は、伝統的な学風や、入学時の偏差値を除けば、教育は教員任せだったかもしれません。しかし、今は徐々に変わりつつあります。そして国が「三つの方針」の策定を義務付け、来年4月に公表を求めたことで、抽象的だった表現も、ぐっと現実味を帯びてくることが予想されるのです。

学部・学科の改組も契機に

最近のニュースでも、大学の学部改組や、入試方法の変更という話題が多くなってきたように感じてはいないでしょうか。そうしたことも、元々あった大学自身の危機感が、上記のような国の方針に後押しされて、いち早く教育・入試改革に乗り出した動きだ……ととらえることができます。

たとえば、国立大学協会が先頃まとめた小冊子には、全国の国立86大学の改革状況がコンパクトにまとめられています。国立大学は6年ごとに「中期目標」を定めることになっており、第3期が今年度から始まっているからです。これに伴って一部の国立大学では今春、新しい学部がスタートしましたし、来年度以降の学部改組を計画している大学も少なくありません。これに伴って当然、DPもCPも、そして何よりAPも変わるわけです。もちろん、私立大学も例外ではありません。

「三つの方針」を策定中の大学でも、検討の過程で、徐々に教育方法などが変わってくることが予想されます。そうした改革への取り組み姿勢についても、質問してみてはいかがでしょうか。

  • ※「三つの方針」義務付け:「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の公布について(通知)」(3月31日付)
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1369884.htm
  • ※国大協「国立大学の改革—第3期中期目標期間を迎えて」
  • http://www.janu.jp/report/files/2016-shousasshi-kaikaku.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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