ネット活用力の高さは家庭での指導とルールから‐斎藤剛史‐
スマートフォン(スマホ)の急速な普及など、子どもの間における情報化の進展は目を見張るものがあります。子どものほうが情報機器に詳しい場合も多く、保護者の役割に無力感を覚えている人もいるかと思います。しかし総務省の調査によると、インターネットを使い始めた時に、保護者に使い方やルールを教えてもらった経験のある子どものほうが、インターネットの活用力が高いということがわかりました。
調査は、高校1年生約1万3,600人から回答を得ました。保有するインターネット接続機器(複数回答)の割合は、スマホが91.5%、携帯・固定ゲーム機が63.5%、パソコン(ノートとデスクトップ)が43.8%、タブレットパソコンが17.4%などで、9割がスマホを保有しています。インターネット接続で最もよく利用する機器は、スマホが85.5%、パソコンが3.9%、ゲーム機が2.7%、タブレットパソコンが1.6%などで、ほとんどの高校生はスマホのみでインターネットを利用しているようです。
スマホの利用時間を見ると、平日は「1・2時間未満」が28.8%、「2・3時間未満」が25.1%で、合計すると53.9%の高校生が1日当たり1・3時間をスマホの利用に充てている計算です。また高校生の1割が、1日5時間以上もスマホを使っていました。さらに休日になると利用時間が増えて、高校生の55.4%が1日3時間以上もスマホを利用しています。休日に5時間以上使うという高校生も2割以上いました。また、スマホの利用時間の6割以上を占めているのが、交流サイトなどのSNSです。スマホの利用時間が長い高校生ほどSNSを利用する時間も長くなるのが特徴です。
このようにスマホを自在に使いこなす現代の子どもたちに対して、保護者ができることはあまりないと考えている人も少なくないでしょう。しかし、調査と同時に実施したインターネット・リテラシー(活用力)のテスト結果を見ると、インターネットを使い始めた時に使い方を「保護者」から教わった高校生はテストの正答率が71.1%だったのに対して、それ以外の者に教わった高校生の正答率は6割台にとどまっています。同様に、家庭でスマホやSNSの利用に関するルールがある高校生の正答率は71.2%、家庭のルールがない高校生の正答率は68.9%で、家庭のルールがある高校生のほうがインターネット活用力が高いこともわかりました。これについて総務省は、「(インターネットの)使い方を保護者に教わった青少年のリテラシーが高いため、家庭においてインターネットの使い方を教える環境づくりが重要」と説明しています。
子どもたちのほうが保護者よりもスマホなどの情報機器を使うのが得意なのは、恐らく間違いないでしょう。しかし調査結果を見ると、犯罪などに巻き込まれないようにするためのインターネットの正しい使い方や、インターネットについての高い活用能力などを子どもに身に付けさせるために、家庭において保護者が果たすべき役割は非常に大きいといえるのではないでしょうか。