「部活に入っているから勉強ができない」はウソだった!?

高校生活の中心はもちろん日々の学習です。しかし、もう一つ、重要な柱があります。それは部活動です。高校の中には部活動への参加を奨励し、全校生徒のほとんどが何らかの部に参加しているところもあります。仲間と同じ目標に向かって努力する部活動に参加することで、高校生は多くを学びます。しかし、保護者のかたにとって気になるのは、部活動と勉強の両立です。実際、高校生に話を聞くと、「部活動で疲れてしまい、家に帰ってからあまり勉強できなかった」と、部活動と勉強の両立に苦労したという声がよく上がります。では、部活動は本当に勉強の妨げになるのでしょうか?


部活動をやめても、勉強するとは限らない!

 部活動に一生懸命なのはいいけれど、毎日ヘトヘトになって帰宅し、予習復習もままならないお子さまを見て「そんなことなら、もう部活をやめたら?」と声をかけた経験を持つ保護者のかたは少なくないはずです。では、部活動をやめると、勉強時間は確実に増えるのでしょうか?

 

 ここに興味深いデータがあります。高校1・2年生に「部活動への参加状況と平日の家庭学習時間」を聞いたところ、「部活動に参加している」生徒は、「部活動に参加していたがやめた」生徒や、「部活動に参加していない」生徒と比べて、平日に家庭学習を「ほとんどしない」の比率が最も低いことがわかったのです。

 

 


 かろうじて、平日に「3時間+3時間以上」の勉強をしている割合については、「部活動に参加している」生徒よりも、「部活動に参加していたがやめた」生徒の方が多いのですが、どうやら「部活動をやめれば勉強するようになる」とは言えないようです。お子さまが勉強するかどうかは、部活動の参加の有無よりも、勉強する目的(どの大学に、なんのために進学したいのか)の確かさの方が重要なのかもしれません。

 

 

部活動と勉強との両立で、受験に必要な自己管理能力を身につける

 難関国公立大に多くの生徒を現役合格させている高校の先生の中には、「部活動に参加している生徒の方が、受験に必要な自己管理能力を身につけていることが多い」と考えるかたが多くいます。夜、疲れて帰宅し、就寝までの限られた時間の中で、優先順位をつけて勉強したり、通学時間や授業と授業のあいまなどのスキマ時間に効率的に勉強したりすることで、結果的に部活動引退後に計画的に勉強を進める自己管理能力が身につく、というわけです。

 

 もちろん、お子さま自身が、「目標を実現するためには、部活動の時間を学習に充てるべきだ」と判断したのであれば、その決意を尊重してあげたいものです。しかし、保護者のかたから「部活動をやめなさい!(そうすれば勉強時間がきっと増えるはずだから)」と強く勧めるべきかどうか、じっくりと考えた方がよさそうです。

 

 最後に、部活動と勉強の両立を成功させるコツをいくつかご紹介します。最初は「部活動から帰ったら、部屋着に着替えずに、そのまま机に向かって、絶対にやっておくべき宿題などを済ませる」です。部屋着に着替えてしまうと、ついリラックスしてしまい、テレビのリモコンなどに手が伸びてしまうので、制服を着たまま、30分から1時間、これだけは!という勉強を済ませてしまうという方法です。

 

 次に、「平日に勉強できないのは仕方ないので、練習のない週末、可能な限り頑張る」です。「疲れていても夜1時まで3時間勉強」など、実現が難しい計画を立てるよりは、「平日は30分でもいいので、その分、土日でばん回する」と割り切るわけです。そして、「部活動の帰りに、1日の授業を思い出す」。ノートや教科書を開く余裕がなくても、授業での先生の説明、そして先生や友達の発したジョークなどを、教室の風景と共に思い出すだけでも学習内容が定着しやすくなります。

 

 

 部活動を、勉強を妨げるものとして見るのではなく、お子さまが自己管理能力を身につけるためのよい試練として受け止められるといいですね。

 

 

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