中高生のインターネット利用の実態は?【第2回】趣味でつながる中高生の世界~中高生のICT利用実態調査2014より~

スマートフォンやパソコンなどのICTメディアを通じて、中高生の生活世界はどのように広がっているのでしょうか。
前回に引き続き、ベネッセ教育総合研究所が実施した「中高生のICT利用実態調査2014」をもとに、3回シリーズで中高生のネット利用についてレポートしていきます。

今回は「趣味」をキーワードに、インターネットによる友人関係の広がりについて考察します。



ネット上で趣味のつながりを持つ中高生は
ネット上で知り合った友人が多い

ネット上で、趣味の情報発信をしたり、コミュニティーに参加したりしている人の割合は、中高生とも全体で約2割でした。これは男子より女子に多く、女子は約4分の1に相当する25%が趣味のつながりを持っています。趣味の内容は、中高生とも、男子は「ゲーム」、女子は「好きなタレントやアーティストの情報収集やコンサートに行く」が第1位となりました。



また、趣味のつながりのある中高生の約半数は、「ネット上で知り合った人・友だちがいる」と答えており、そのうち高校生では41.5%、中学生では27.6%が実際に会ったことがあると答えています。趣味のつながりのある人は、オンライン上で人とのつながりを持つ割合が高いのに加えて、オフラインにも移行しやすいことがわかります。




また、趣味のつながりを持つ人は、ネット上で「たくさんの人とつながりたい」と思っている率が、趣味のつながりのない人に比べて高くなりました。こうした意識の違いが行動に影響を与えていると考えられます。



Twitterを活用したゆるやかなつながり

趣味のつながりのある人で特徴的なのは、Twitterの利用率です。高校生で、趣味のつながりのある人は、Twitterを「ほぼ毎日」使っているのが62.4%で、趣味のつながりのない人の33.3%と比べると倍近くになっています。中学生は、全体としてTwitterの利用率が低いものの、趣味のつながりのない人が9.3%であるのに対し、趣味のつながりのある人は33.4%と顕著に高くなります。
Twitterは、趣味についての発信や情報収集に便利なツールといえます。メールやチャットのように、「すぐに返信しなければ」といった強制力は働かず、誰かの発信について反応したい人が自由に反応すればよいので、共通の話題を中心としたゆるやかなつながりができやすいのです。



オンライン上の友人の数と、
リアルの友人の数にはあまり関係がない

さらに、高校生のTwitterのフォロワー数については、趣味のつながりのある人は平均381.3人、ない人は平均277.0人と大きな差が見られます。一方、LINEでつながっている友人の数は、趣味のつながりのある人のほうが多いものの、Twitterほどの違いは見られませんでした。
また、リアル(現実)を中心とした「話をしたり一緒に遊んだりする」友人の数は、趣味のつながりのある人・ない人でほとんど差がありませんでした。ネット上でつながっている友人の数は、リアルの友人関係にはあまり影響を与えていないようです。



趣味のつながりのある人のインターネット利用は長時間に

一方、趣味のつながりのある人のインターネット利用時間は、休日で「5時間以上」が3分の1と、長時間になる傾向があります。また、「携帯電話やスマートフォンがいつも手元にないと不安だ」と答える率も、趣味のつながりのない人より高い傾向が見られます。また、趣味が「ゲーム」の場合、ゲームの利用時間が長いのは当然のことながら、「タレントやアーティストの情報収集」の場合はネット時間だけでなく、テレビを見る時間も長い傾向が見られます。




「居場所」としてのオンライン上コミュニティー

今回のアンケート調査に先立って、ネット上で趣味のつながりを持ち、活発に情報発信をしている中高生にインタビュー調査を行いました。その中から、今の中高生のオンライン上のコミュニケーションの特徴を示すと思われるエピソードをご紹介します。

たとえば、「タレントの情報収集」が趣味の高校生女子の場合。学校では話の合う人がいないけれど、ネット上での、同じアーティストのファン同士のやりとりは楽しく、自然に自分が出せると語っていました。コンサートも、そのコミュニティーで会った人と行っているそうです。また、「マンガ」が趣味の中学生女子は、好きなマンガについて大人と感想をやりとりするためか、難しい言葉をよく知っていました。ネット上のコミュニティーが、地域や世代を越えた出会いの場や「居場所」となっているケースも多いようです。



コミュニティーや相手によるツールの使い分け

また、今回のアンケート調査から、高校生では、趣味のつながりのある人の3分の1が「チャットのグループやSNSのアカウントによって、キャラやテンションを使い分ける」と答えており、趣味のつながりのない人より高い割合を示しました。インタビューでは、この「使い分け」についても詳しく聞いてみました。
ある高校生女子は、同じ悩みについて話し合うコミュニティーで、リーダー的な役割を果たしています。しかし、その場で熱く語る自分を、学校の友人や別のコミュニティーの友人には知られたくないため、Twitterのアカウントを使い分け、切り替えているとのことでした。また、ある中学生男子は「敬語を間違えないように」、年上の人のいるコミュニティーでは意識を切り替える意味でアカウントを分けていると答えていました。
相手によって話題や接し方を変えることは、現実でも一般的に行われています。それをアカウントによって分けるというのは、デジタルネーティブならではの気遣いの仕方といえるかもしれません。



「趣味のつながり」を持つ中高生は、
今後さらに増えていく?

インターネットの普及は、中高生が学校や居住地などの環境の制約を受けずに、興味・関心を同じくする人と自由に交流し、自己表現の場を持つことを可能にしました。その一方で、趣味のつながりを持つ人は、ネット利用が長時間になりがちで、依存的な傾向を示す割合も相対的に高くなっています。

趣味のつながりを持つ中高生は、今は全体の2割程度ですが、ネット上のコンテンツ・サービスの充実やスマートフォンなどの普及が一層進めば、今後さらに増えていく可能性もあります。オンライン上の世界の広がりが、中高生の生活や文化にどのような影響を与えていくのか、今後も注目していきたいと思います。


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