「図工」「美術」が苦手な理由は「上手に絵が描けない」「手先が不器用」
アンケート期間 2011/08/31~2011/09/1 回答者数:2,617人
アンケート対象:アンケート対象:本サイトメンバー 小学生・中学生の子どもがいる保護者
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある
今回のテーマは、実技教科のうち「図工」「美術」。絵を描いたり、工作をしたりといったことが得意なお子さまにとっては腕の見せどころですよね。一方、手先が器用でない、絵心がないといったお子さまは、授業を退屈に感じたり、ひょっとして教科自体を嫌ってしまったりすることもあるかもしれません。
今回のアンケートでは小1~中3のお子さまをお持ちの保護者に、お子さまは「図工」「美術」が好きかどうか、「図工」「美術」についてお子さまにどのようなことをすすめているかなど、さまざまな角度からお聞きしています。
「図工」「美術」の成績、4割近くが「よい」!
まず、お子さまの「図工」または「美術」の成績について伺いました。また、お子さまが「図工」または「美術」に関する習い事や部活動、クラブ活動をしたことがあるかもお聞きしています。
【図1 お子さまの「図工」または「美術」の成績はいかがですか?】
最も多かったのは、「子どもの『図工』または『美術』の成績は、よいとも悪いともどちらとも言えない」という保護者。全体の5割以上を占めています。「よい」という保護者は4割近く、「よくない」という保護者は約1割でした。
また、お子さまに「図工」または「美術」に関する習い事や部活動、クラブ活動を経験させている保護者は少なく、全体の1割ほどでした。
「とても好き」の割合は、小3から中3で約4分の1に!
ではお子さまは、「図工」または「美術」の授業が好きでしょうか。保護者から見た印象を伺っています。
【図2 お子さまは、「図工」または「美術」の授業が好きですか?(学年別)】
全学年に共通して、「子どもは『図工』または『美術』の授業が好きである」という保護者が目立ちます。おおむね学年が低いほど「好きである」割合は高く、小1~小3では9割を超えました。
「好きである」の内訳を見てみると、「まあ好きである」の割合はどの学年も10ポイントほどの差の中に収まりますが、「とても好きである」の割合は大きく変わっています。最大値の「小3」が約5割であるのに対し、最小値の「中3」が1割強ですから、約4分の1にまで減っていました。「とても好きである」が減った分、「中3」では「やや嫌い」「とても嫌い」が増えています。
1~2割の保護者に「困っている」ことあり!
続いて、「図工」または「美術」の授業・教科について、保護者が何かに困っているかどうかを伺いました。困っていることがある場合は、その内容も具体的にお聞きしています。
【図3 「図工」または「美術」の教科・授業で困っていることはありますか?(学年別)】
「『図工』または『美術』の教科・授業では、あまり困っていない」という保護者が、すべての学年でも最も多く、「まったく困っていない」と合わせると、全体の8割以上を占めています。
ただ、「まあ困っている」という保護者は、どの学年にもいます。小1・小2を除く全学年に見られた「とても困っている」という保護者と合わせると、各学年の1~2割程度になりました。
保護者の「困っている」ことをご紹介!
では保護者は、「図工」または「美術」の授業・教科のどのようなところに「困っている」のでしょうか。具体的にご紹介します。
☆図3で「とても困っている」「まあ困っている」と回答したかたにお聞きします。具体的にどのようなことですか?
◎小学生の保護者が困っていること
●正直なところ、うちの子には絵のセンスがありません。親のわたしが悲しくなるくらい下手です。絵を描くことは好きでよく描いていますが、一向にうまくなりません(小4・女子の保護者)
●子どもは、絵を描いたり色を塗ったりすることが不得意です。空間や図形を正確に捉えられていないのではないかと思います(小4・男子の保護者)
●ノコギリや彫刻刀を怖がり、いつも変な持ち方をしています。「しっかり握らないとケガをするよ」と注意しても直らず、困っています(小6・男子の保護者)
◎中学生の保護者が困っていること
●いつも「おれは絵が下手だ」と言っていて、「美術」の課題であっても、描くのを嫌がります。確かにうまくはありませんが、「下手で何が悪い!」と開き直るくらいの気持ちになれないものかと思います(中2・男子の保護者)
●一生懸命取り組んで、仕上がった作品も上手なのに、先生からの評価が低いんです。どういう基準で評価しているのかと思います(中2・男子の保護者)
●息子は「美術」の定期テストで学年最高点をとったんですが、それでも成績は5段階評価の3。そんなに実技がダメなのかと、ちょっとショックでした。「美術」にはセンスが必要なんだと、あらためて思いました(中2・男子の保護者)
●仕上げが雑なところ。わたしが「もう少していねいに描いたら?」と言っても聞きません。ていねいさが足りないことは誰の目にも明らかですから、「美術」の成績はいつも悪いんです(中3・男子の保護者)
「図工」または「美術」の教科のために保護者は子どもにこんな働きかけをしている!
最後に、「図工」または「美術」の教科のために保護者が何を心がけ、どのようなことを子どもにすすめているかを伺いました。
☆「図工」または「美術」の教科のために、お宅で何か心がけていることや、お子さまにすすめていることがあれば教えてください。
◎小学生の保護者
●息子は小さいころから工作好き。もっともっと上手になってほしいので、ハサミやカッター、厚紙、折り紙などはリビングに常備しています(小4・男子の保護者)
●親子で散歩をするときなどに、「葉桜がきれいだね」「今日は空が真っ青だね」などと声をかけています。身の周りに多くの色彩があることに気付いてほしいんです(小4・男子の保護者)
●子どもが良い作品を仕上げたときは、リビングに飾るようにしています(小5・男子の保護者)
●毎日、チラシやいらない紙の裏などに好きなだけ絵を描かせています。また、うちの子は突然、「何かをつくりたい!」と言い出すことがよくあるんです。そんなときに備えて、トイレットペーパーの芯や牛乳パック、空になったティッシュペーパーの箱などは捨てずに取っておくことにしています(小6・男子の保護者)
●絵でも工作でも、ほめることを心がけています。「ここが良くない」と欠点を指摘するのではなく、「こんな構図、よく思いついたね」「着眼点が良いね」など良いところを見つけ、そこを伸ばそうとするんです。また、わたしに時間があれば美術館などに連れて行くようにしています(小6・男子の保護者)
◎中学生の保護者
●上手下手よりも、ていねいに仕上げることが大切だと伝えています(中1・男子の保護者)
●息子は「美術」が大好き。好きこそものの上手なれで、将来は芸術の道に進むのも良いかもと思っています。ただ、今はまだ子どものお絵描きの延長といった感じなので、芸術的感性に磨きをかけてほしいと思っています。息子のために親として何ができるかを考えているところです(中1・男子の保護者)
●子どもが描いた絵は、必ず家の玄関やリビングに飾ります。小さいころからそうしてきました(中2・男子の保護者)
●親子で美術館や展覧会に出かけるなど、名画に触れる機会をなるべく多くつくるよう心がけています(中3・男子の保護者)
●日本の国宝の写真集を買い、いつでも見られるようにしています。また、娘が好きな絵画の絵はがきを買ってあげています(中3・女子の保護者)
全体として「子どもは『図工』『美術』の授業が好きだ」と感じる保護者の割合が圧倒的に高くなりました。「図工」「美術」に対する子どもの関心を引き出したり、さらに高めたりするために、多くの保護者がさまざまな働きかけをしていました。「美術館に連れて行く」「普段から工作で使う材料を集めておく」といった具合です。
それでも、「授業について困っていることがある」という保護者は、今回ご協力いただいた小1~中3まで各学年に見られます。そうした保護者からは、「絵を描くのが苦手」「手先が不器用」といった声が目立ちます。思うように絵が描けなかったり、工作ができなかったりすることで、「図工」「美術」自体が嫌いになってしまうお子さまもいるようです。
「どういう基準で評価しているのだろうか?」など、学校の成績のつけ方に対する疑問も少なくありません。子どもの努力を認めてほしいという保護者の気持ちを反映しているのではないでしょうか。