過保護だと言われます【後編】[教えて!親野先生]

過保護だと言われます【後編】[教えて!親野先生]

ただ、ひとつ気を付けてほしいことはあります。
それは、ゆうははさんが「『うまく子離れできないのでは?』『子育て後に燃え尽き症候群になるのでは?』と思う時があります」と言っている点に関してです。
こういうことは、実際に起こりえます。

もう子どもが十分満たされた時、もうそれは要らなくなった時、発達課題を十分こなし終わった時、その時は、親がうまく子離れする必要があります。
時には、そっと子どもの背中を押してやったり、親のほうが少しずつ後ろに下がったりということも必要なのです。
それをしないと、別の意味で子どもの健全な成長が妨げられることになります。

では、それはいつなのでしょうか?
どうしたらわかるのでしょうか?
それは、子どもをよく観察していることによってわかるのです。
それ以外はあり得ません。

これが、ゆうははさんの「子どもとの距離をうまくとって見守る心がけはありますか?」という問いへの、私の回答です。
「子どもとの距離をうまくとって」とは「過不足なく適切な距離」ということです。
それは、親が自分の五感を全開にして、我が子が発している信号をキャッチすることで可能になるのです。
それ以外はないのです。

親がその気になって子どもをよく見ていれば、かなりのことがわかるのです。

マニュアルやほかの子と比べて判断するのは、要注意です。
マニュアルには、「○歳で○○は終わり」とか「○年生では○○ができなければ」などということが書いてあります。
専門家やママ友達もいろいろなことを言います。
また、親自身がほかの子と我が子を比べてしまうこともあります。

もちろん、これらも一応の参考にはなります。
でも、決してそれにとらわれないことが大事です。
子ども自身が一番の情報源ですから。
一般的な子どもなど一人もいません。
子どもの成長は、十人十色、百人百様、千差万別なのです。
その子をしっかり見ていて、その子に必要ならやってやり、必要なくなったらやめるのです。

そして、子どもの成長とともに、自分自身の生きがいや新しい目当てを見付けることも、少しずつ心がけていくといいと思います。

このようなことに心がけていけば、大丈夫です。
お子さんたちは、ゆうははさんの愛情をたっぷり受けて、すくすくと成長していってくれることでしょう。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
ゆうははさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。



親力革命──「親」であることにふと迷ったときに読む本 (単行本)親野智可等(著) 講談社 ISBN-10: 4062137267親力革命』「親」であることにふと迷ったときに読む本(講談社)
Benesse教育情報サイトの人気コンテンツ「教えて!親野先生」が一冊の本になりました。子育ての悩みは多様に見えて、実は意外と似ているものです。『親力革命』のなかに、今のあなたの、または将来の悩みを解決するヒントが隠されているかもしれません。


プロフィール


親野智可等
  • web アイコン
  • instagram アイコン
  • youtube アイコン
  • twitter アイコン

・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

子育て・教育Q&A