子どもの「あれが欲しい。これがしたい」をどこまで認める? [教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
子どもが「あれが欲しい。これが欲しい」「あれがしたい。これがしたい」といろいろ言ってきます。こういうとき、どこまで認めてどこからノーと言えばいいのか迷います。迷わないようにするにはどうすればいいでしょうか?

相談者・トマトママ さん (小4 男子)

【親野先生のアドバイス】
トマトママさん、拝読しました。

子どもがいろいろな要求を言ってくるのはとてもよいことです。
子どもが自己主張できているということだからです。

この反対に、子どもが親に何も要求できない、一切自己主張できない、そういう親子関係だとしたらものすごく心配です。

・決めたルールは絶対に守らせ、一切妥協しない
・子どもが何を言っても聞く耳を持たない
・子どもの要求にはまったく応じない、「交渉の余地なし」の厳格なしつけ主義

実際にこういう親もいますが、これだと、子どもは「自分は何を言ってもムダだ」と感じて何も言わなくなります。

そして、その気持ちが人生そのものに対する無力感につながり、「自分は何を求めてもムダだ。何か願いを持っても叶えられない」と感じるようになります。

サイレントベビーという言葉にならっていえば、サイレントチルドレンです。
成長した後もサイレントマンになってしまう可能性が高いといえます。

ですから、子どもがいろいろ要求してくるのはよいことなのです。

ただし、この正反対の放任主義の親も問題です。
・ルールや約束など基準になるものを何一つ決めていない
・すべて行き当たりばったり。子どもは何でもやりたい放題
・子どもの言うことはすべて丸呑みで、何でも聞いてやる
・欲しがる物は何でも買ってやる

これだと、子どもは自分の気持ちや欲望をコントロールする経験ができません。
当然、生活習慣、お金、持ち物の管理など、何ごとにおいてもいい加減になってしまいます。
規範意識も育ちません。

さらには、こういう親に対して、子どもは「自分のことを真剣に考えてくれていない。自分のことなんかどうでもいいと思っているんだ」と感じるようになります。

トマトママさんのように、子どもの要求に対して「どこまで認めてどこからノーと言えばいいのか」と迷うのはよいことなのです。

それに、人生は何ごとにおいても、あらかじめ決めた基準に沿って一律に即断できるほど単純なものではありません。

あらかじめ決めた基準があったとしても、子どもがそれをどれくらい強い気持ちで望んでいるか、周囲の友達はどうしているか、他の家庭ではどう判断しているか、わが家の経済状況はどうか、子どものきょうだいや家族の状況はどうか、などなど、いろいろな事情が複雑にからみあってくるので、その度にそれらを総合的に判断して決める必要があるのです。

ですから、トマトママさんが迷うのは、その度に誠実に対応しているという証拠でもあります。

ぜひ、これからも、子どもの話に誠実に耳を傾けてあげて欲しいと思います。
それから、諸事情を総合的に考えて判断してください。

結果的にノーと言う場合も、まずは子どもの気持ちを共感的に聞いてあげることが大切です。
そして、ノーと判断した理由も誠実に話してあげてください。

ただし、親が一生懸命考えて答えたとしても、その後も子どもがさらに言ってくることもあるでしょう。
そういうとき感情的に切れてしまうのではなく、交渉のテーブルについてあげてください。

「だってみんな○○してるもん」「なぜ○○したいの?」「だって、□□だから」「なるほど、たしかにそういうことはあるかもね」「わたしだけ○○できないなんてイヤ」「じゃあ、△△したらどうかな?」「う~ん……、それならいいよ」

親子交渉の結果、イエスになることもありノーになることもあるでしょう。
イエスでもノーでもなく、お互いに妥協し合って着地点が見つかることもあるでしょう。

いずれにしても、このような交渉が大事であり、それ自体がとてもよい教育の機会でもあります。

子どもは、一生懸命交渉すれば望みが叶うこともあるということを学びます。
説得するためには熱意が必要であり、同時に理由や根拠を挙げて理論的に話すことも必要だということも学びます。

欲をかき過ぎれば失敗することも学びますし、妥協して少し望みを叶えることの大切さも学びます。

ですから、ぜひ「交渉の余地あり」の親であってください。

ただ、ここで気をつけて欲しいのは、迷ったり交渉したりすることは大事ですが、あらかじめ決めた基準が何もないとそれもできないということです。

つまり、冒頭で書いたような放任主義の親ではいけないのです。
厳格なしつけ主義と放任主義、これらはいずれも子どものためにはなりません。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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