サイエンスコミュニケーターが教える! ワンランク上の自由研究【後編】まとめ方

自由研究には決まったフォーマットがあるわけではありませんから、どのようにまとめればよいか悩むお子さまもきっと多いはずです。前回に引き続き、筑波大学生物学類のサイエンスコミュニケーターとして、未来の科学者を育成するプロジェクトに関わる尾嶋好美さんに、自由研究のまとめ方のポイントを伺いました。



実験したことをまとめよう!


自由研究では、実験したことをわかりやすくまとめることも大切です。小さなお子さまの場合、大きな模造紙にどう書いていいかわからないと思いますので、最初のうちは保護者のかたがサポートしながら、二人三脚でまとめてほしいと思います。まとめ方のポイントは下記のとおりです。

●研究の動機や目的:どうしてその研究をしようと思ったのか、どんなことを知りたいと思ったのかを書きましょう。

●観察・実験の方法:どのようにすれば、知りたいことがわかるかということを考えながら、観察方法・実験方法を書きましょう。量や時間、温度など計測できるものは、できる限り計測し、結果を比べられるようにしましょう。

●自分の予想:実験の結果を予想してみましょう。

●実験結果:結果は比べて見られるように、表にするとよいでしょう。実験の様子は写真を使って説明すると見やすいです。計測したものについては単位を必ず書きましょう。

●わかったこと:実験によってどんなことがわかったかを書き、どうしてそんな結果になったのか、自分なりの考えを書きましょう。 

●参考文献:本やインターネットで調べたことは、書名やインターネットのアドレスを書きましょう。



外部コンクールへ発表してみよう!


おもしろい自由研究ができたという場合は、外部のコンクールに応募するとよいと思います。ご家庭や学校以外でも、自分のがんばりを認めてくれる場があれば、さらに科学の芽を伸ばすことができるはずです。私の所属する筑波大学ではSSリーグという活動をしています。「SSリーグ」(Super Science League スーパーサイエンスリーグ)とは、科学に意欲があり「未来の科学者」をめざす児童・生徒の皆さんの個人研究を、大学教員と大学院生が個人的に研究指導・支援しています。

他にも、「自然科学観察コンテスト」や「全国小学生『未来』をつくるコンクール」といったコンクールがあります。ぜひ応募してほしいですね。アメリカでは、こうした自由研究のコンクールが盛んに行われています。たとえば、ISEFという世界約70の国や地域から1,500人以上の高校生(9~12grade)が集まる科学の自由研究を競うコンテストでは、賞金はもちろんですが大学の入学資格や奨学金を得ることができます。そのため、人生が変わるチャンスだと考え、がんばって自由研究を行う子どもたちがたくさんいます。日本でもこうしたコンテストが広がり、受験につながる勉強だけが将来の道を開くのではないということを知ってもらえるとうれしいです。



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プロフィール


尾嶋好美

筑波大学生物学類サイエンスコミュニケーター。筑波大学次世代科学者育成プログラム・SSリーグ、筑波大学サイエンスコミュニケーショングループSCOUTなどの運営に関わっている。著書『家族で楽しむおもしろ科学実験』(ソフトバンククリエイティブ)等。

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