打ち方・投げ方・キャッチボールのコツ 少年野球の練習法【第3回】バッティング

野球の基本を身につけるためのコツと練習方法を、修徳中学校軟式野球部の小野寺信介監督が、3つのテーマでアドバイスしてくれます。第3回のテーマは「バッティング」です。ボールを投げる・捕る・打つという3つの動作は、球技の基本です。ここで身につけたことは、野球はもちろん、さまざまなスポーツを行ううえで大切な基本的センスが身につきます。ぜひ一度、お子さんと一緒にトライしてみてください。

<打ち方・投げ方・キャッチボールのコツ 少年野球の練習法【第3回】バッティング(動画)>



バッティングの4つのPOINTを確認

まずはバッティングの4つのポイントを確認しましょう。この4つをしっかり頭に入れておくと、トレーニングの効果が上がります。

POINT1 バットの握り方
・右(左)バッターは、左(右)手を下に、右(左)手を上にする。こうすると、力がバットに伝わる。
・バットは、指の付け根あたりにあて、指と直角になるようにして握る。指の付け根よりも親指に近いところにバットをあて、手のひら全体で握ってしまうと、脇が空いて力が入らないので注意。
・右手と左手の間隔は空けず、くっつくようにする。間隔が空くと、力がうまく伝わらない。
・握る時は、小指から薬指、中指、人差し指と順番に握っていく。こうすると、脇が締まって力が入る。

POINT2 腕を長く使う
・右(左)バッターなら左(右)手でバットを握り、左(右)腕を下から後ろ、上、前へと大きくグルグルと回してから構える。腕が縮んだままでは力強くバットを振ることができないが、こうすると、肩甲骨が動いて自然と腕が前に出るようになる。体もやや前傾するので、腕全体を大きく使ってスイングできるようになる。

POINT3 バットの構え方
・肩幅よりやや広めに、右足と左足のどちらかが前に出たりせず、まっすぐになるように構える。
・重心は軸足、つまり右(左)バッターなら右(左)足に、真上からしっかりと乗るようにして、まっすぐ立つ。重心を足の外側や内側にかけず、まっすぐ立つと、次の動作に移りやすくなる。

POINT4 上半身と下半身の連動
・飛んできたボールに合わせて、右(左)バッターなら左(右)足を前に踏み込み、バットを振りながら重心を右(左)足から左(右)足へ移動させて打つ。この時、バットを握った手の位置を、左(右)足が踏み出した瞬間には構えた時の状態から動かさず、踏み出した左(右)足から遠くに保っておき、下半身の重心の移動に合わせてバットを振ると、体重をバットに乗せて、力強くボールを打つことができる。踏み出す時に左(右)足につられてバットを持つ手が一緒に前に出たり、踏み出す左(右)足が曲がっていたりすると、バットにうまく力が伝わらないので注意。



【Lesson1】 椅子に座ってテニスラケットでバッティング

バットを持つ前に、テニスラケットでボールを打ってみましょう。バッティングでは、ボールを、細い棒に当てるのではなく、広い面の中心でとらえる感覚を持つことが大切です。バットよりも面が広いテニスラケットを使うと、その感覚を養うことができます。ピッチング練習と同じように、椅子に座った状態でボールを打ってみましょう。ボールを打つ時に前のめりになってしまうような、下半身のムダな動きを抑えられます。


やってみよう!
(1)テニスラケットを持ち、両足を肩幅より広めに広げて、椅子に浅く座ります。

(2)飛んできたボールをテニスラケットで打ちます。腰のひねりを効かせて、打ったあとで上半身がしっかり相手を向くようにしましょう。

<ポイント>
・構える時には腕全体を大きく回し、ひじを体の前へ
・腕を振ると同時に、下半身を回転させる
・ボールを面の中心でとらえるようにする


【Lesson2】 椅子に座ってバットでバッティング

今度は、同じく椅子に座った状態で、テニスラケットではなくバットでボールを打ってみましょう。テニスラケットの時より面は狭くなりますが、面の中心で打つ感覚はラケットの時と同じです。


やってみよう!
(1)最初は、やわらかいビニールのバットで打ってみましょう。Lesson1のポイントに注意をしながら、椅子に座り、構えて、打ちます。テニスラケットで打った時の感覚を思い出し、ボールをラケットの面の中心でとらえたように、バットの芯でボールを打つことができれば、ボールは遠くへ飛んでいきます。

(2)(1)と同じことを、バットで行います。
<ポイント>
・ボールをバットの面でとらえる
・足と胸を投げる方向へ向ける


※やわらかいビニールのボールを使えば、家の中や庭先で手軽にできます。ボールを使わずに素振りをするのも効果的なので、お子さんと一緒に練習してみましょう。


【Lesson3】 立ってバッティング

最後は、立ってバットを振ってみましょう。今までやった練習内容を思い出してフルスイング! ピッチング同様、体中すべての力を有効に使うのが、バッティングの基本です。


やってみよう!
(1)椅子に座らず、立って構えます。腕全体を大きく使って、軸足、つまり右(左)バッターなら右(左)足に重心をかけ、まっすぐ立って構えましょう。まずひざを曲げずに立ち、お尻を少し突き出してからひざを曲げるようにすると、重心がまっすぐ乗ります。最初からひざを曲げて構えると、体が起き上がってきてしまいます。

(2)飛んできたボールを打ちます。腕全体を使い、重心を移動させて、バットに力を伝えましょう。体が前に突っ込んだり、重心が移動せず反り返ったりしないように注意してください。

<ポイント>
・腕を大きく使う
・軸足から踏み出す足へと重心を移動
・上半身と下半身すべてを有効に使う

プロフィール


小野寺信介

1979年生まれ。修徳中学校軟式野球部監督。情熱と理論を兼ね備えた指導で同校を全国中学校軟式野球大会に何度も導き、2003年には全国準優勝に輝く。

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