算数の文章問題が苦手です。文章は理解できているのに計算式をつくれません[中学受験]
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平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

【質問】
算数の計算はできるのですが、文章問題が苦手なようです。問題の文章内容自体は理解ができている様子なのです。特に、数字がたくさん出てくると、どの数字を使って計算をすればよいかわからなくなり、うまく計算式がつくれなくなります。
日頃からいろいろな問題パターンに慣れるように数を多くこなし、練習しています。まったくできないというほどではないのですが、少しひねりが加わった問題になると解けなくなるようです。どのようにして勉強すればよいのでしょうか?
相談者:小4女子(感情的で強気なタイプ)のお母さま
【回答】
基礎・基本の問題から、自分で組み立てた式の意味をしっかり理解する。
■やり方だけを覚えて意味を理解していない
たとえば、次のような問題で考えてみましょう。
【例題】とおる君とお父さんの年齢の和は42歳で、とおる君とお母さんの年齢の和は39歳です。 お父さんとお母さんの年齢の和が67歳のとき、とおる君の年齢は何歳ですか。 |
【考え方】下図のような線分図に沿って解いていきます。 お父さんとお母さんの年令の和が67歳、差が42—39=3(歳)だから、お母さんの年齢は、(67—3)÷2=32(歳)よって、とおる君の年齢は、39—32=7(歳)になる。 |
典型的な和差算で求められる、簡単な問題です。このレベルの問題はできるが、ちょっとひねりを加えた問題になると解けないというお子さまは、「さあ、和差算!」だということで足したり引いたりしていたらなんとなく答えが出てきた、というように解いている可能性があります。つまり、やり方だけ覚えて、その意味を理解していないということです。
■解答に沿って説明させる
式の意味を理解しているかどうかは、式の流れに沿ってその意味を説明させればすぐにわかります。たとえば【考え方】にある(67—3)÷2 という式で、なんで32(歳)というお母さんの年齢が出てくるかが説明できるかどうかということです。「和差算を使った」とか、「先生に習ったとおりにした」というのではもちろんダメです。本当に理解したことにはなりません。上記のような線分図を使って、それぞれの数字が線分図のどこを意味しているかを説明させるとよいでしょう。
本来であれば、問題文を読み、線分図を描いて、立式するという手順になります。しかし、それが難しいようであれば、このように解答を見ながらそれぞれの式が何を意味しているかを説明できるようにしましょう。こうした学習を繰り返すことで、答えまでの流れの意味を本当に理解することができるようになるでしょう。
■他の解き方でも考えてみる
1つの解き方だけでなく、別のやり方で解くことも勉強になります。
たとえば、記号を使った方程式の手法で解いてみましょう。
とおる君を○、お父さんを△、お母さんを□とします。
・とおる君とお父さんの年齢の和は42歳だから、○+△=42(歳)
・とおる君とお母さんの年齢の和は39歳だから、○+□=39(歳)
・お父さんとお母さんの年齢の和は67歳だから、△+□=67(歳)
ここで、とおる君二人分とお父さん、お母さんの和は ○+△+○+□=42+39=81
ここからお父さんとお母さんの年齢の和を引くと、とおる君二人分が出てくる。
○+△+○+□—(△+□)=○+○=81—67=14
これにより、とおる君の年齢は ○=14÷2=7となる。
ここでは記号を使って式をつくり、△や□を消すことで○を出して答えを求めています。このように、1つの問題をいろいろなやり方で解くことでも理解は深まります。
■式の意味を理解する
線分図や絵図を使い、何をやっているのかを具体的かつ視覚的にとらえる。あるいは、いくつかの方法で問題を解いてみることが、式の意味を本当に理解することにつながります。自分が何をしているのかわかるまで、一つひとつじっくり解くことが大切です。“基本問題だから、教えてもらったとおりの操作だけで解いている”ということでは実力は付きません。
基礎・基本の問題から、自分で組み立てた式の意味をしっかり理解しましょう。演習を重ねることで、複雑で難解な問題も解けるようになることでしょう。
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