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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 目に関すること
眼科で鼻涙管閉塞(へいそく)と言われ、水を通す治療をしてもらいました。治療のあと少し出血し、朝には血のついた目やにが出ますが、この治療は出血するのでしょうか。
生まれてからずっと両目とも目やにが出続けており、小児科からもらった目薬をつけていましたが改善されません。
先日、眼科に行ったところ、鼻涙管閉塞の可能性があるということで、水を通す治療をしてもらいました。
左目はそれで改善されましたが、右目は2日後から少しですが出血し、朝になると血のついた目やにがついています。1週間後に再度受診したところ、右目はまだ通っていないようで再度水を通す治療をしました。
治療後および同じく2日後に出血し、まだ朝になると血の目やにがついています。鼻涙管閉塞の場合、水を通す治療は出血したりするのでしょうか?
水を通す治療では出血を起こすことはまずありませんので、涙道ブジー法による治療ではないでしょうか? 1歳を過ぎるまで鼻涙管閉塞が治らない場合には、高度の閉塞を起こしていることが多く、外来で安全に治療することは難しくなります。長引く場合には専門医に相談し、全身麻酔での処置を受けることをおすすめします。
「生まれてからずっと目やにが出続けている」「目薬をつけると目やにが少なくなるが、やめるとまた増える」「いつも涙目である」などの症状がある場合、先天鼻涙管閉塞が疑われます。
先天鼻涙管閉塞は、鼻涙管(涙の排出路)の下端にあるハスネル弁の開口不全が原因で、新生児の約6〜20%に見られる頻度の高い病気です。
90%以上は自然治癒しますので、生後2〜3ヵ月までは、点眼薬をつけたり涙嚢部(るいのうぶ:目と鼻の間)をマッサージして様子を見ます。
長引く場合には、まず涙道洗浄(涙道に水を通す方法)を行って、鼻涙管が閉塞しているかどうか診断します。
この涙道洗浄を行うだけで軽症例では改善しますが、多くの場合、涙道ブジー法(涙道の閉塞部位に細い針金のような器具を挿入して開放する方法)を行わないと治りません。「治療後に出血した」ということですが、水を通す治療では出血を起こすことはまずありませんので、涙道ブジー法による治療ではないでしょうか?
涙道ブジー法は、一般に生後6〜7ヵ月までは、外来でお子さんが動かないように押さえて安全に施行できる方法で、通常なら1、2回で完治します。
しかし、お子さんのように1歳を過ぎるまで治らない場合には、かなり高度の閉塞を起こしていると考えられ、外来で安全に治療することは難しくなります。
このような場合には、全身麻酔で涙道ブジー法を確実に施行し、閉塞が高度の場合には、シリコンのチューブを一定期間留置する手術が必要です。
シリコンチューブ留置術を行えば9割以上は完治し、抜くときは外来で簡単に行えます。
涙道がまったく開放不能の場合には、年長になってから、涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ:骨を削って涙嚢と鼻腔をバイパスする大規模な手術)を検討します。
いずれにしろ、年齢的に外来での処置には限界がありますので、鼻涙管閉塞が治っていなければ、専門医に相談し、全身麻酔での処置を受けることをおすすめします。