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総合監修:二瓶 健次 先生
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体の部位アドバイス - 目に関すること
まぶたが腫れる霰粒腫。子どもにできてしまった場合の対策法は?小児科医が回答!
右目に霰粒腫(さんりゅうしゅ)がふたつできましたが、目薬で自然に治る場合もあると聞きました。
右目に霰粒腫(さんりゅうしゅ)がふたつでき、切開手術するなら全身麻酔と言われました。ほうっておいても自然に吸収されてなくなることもあるそうなのでとりあえず今は様子を見ることにして、目薬をもらって帰りました。
しかし子どもが目薬が苦手なので、夫婦で押さえて点眼すると半狂乱になって泣き、直後は近づくと目薬を警戒して親から逃げるほどおびえるのでかわいそうでできなくなりました。
どのくらい様子を見ていてよいものなのでしょうか。また、この年齢での麻酔はその後の成長に影響することはないのでしょうか。
通常の霰粒腫では点眼薬がなかなかつけられなくても心配はありません。視力の発達にも影響しませんので、数カ月様子を見ても大丈夫です。しかし、腫瘤(しゅりゅう:小さなこぶのような固まり)が大きくなったり、皮膚が赤くなったりただれたりした場合には、全身麻酔で摘出して組織を調べた方がよいでしょう。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、瞼板(けんばん)のマイボーム腺(せん:まぶたにある脂腺)に肉芽腫性炎症を起こしたもので、まぶたをなでると半球状のしこりがふれるのでわかります。まぶたの分泌腺に細菌が感染して起こる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは異なり、通常は痛みを感じたり皮膚が赤くなることはありません。
急性炎症を起こした化膿(かのう)性霰粒腫では、抗菌薬や抗炎症薬を使用する必要がありますが、通常の霰粒腫であれば、点眼薬がなかなかつけられなくても心配はありません。清潔にして、お子さんが手でさわったりこすったりしないように気をつけるようにしてください。
子どもの場合には、大人と違って簡単に手術をすることができないため、腫瘤が大きくなったり、皮膚が赤くなったり、浸潤がないかどうか注意して様子を見ることとなります。
この間、抗炎症薬が効果的なこともありますが、お子さんによっては点眼薬よりも眼軟膏(がんなんこう)の方が使いやすいかもしれません。なお、長期に使用する場合には、点眼薬や眼軟膏そのものの副作用にも注意する必要があります。特にステロイドホルモンが含まれている抗炎症薬は、緑内障や白内障などの副作用に注意が必要です。
霰粒腫は、視力の発達に影響を及ぼすことはありませんので、数ヶ月様子を見ていても問題はありません。
しかし、腫瘤が大きくなって皮膚が赤くただれてきたり、腫瘤が結膜から突出してきたら、手術治療を行って、場合によっては組織を調べた方がよいでしょう。
手術は、腫瘤を簡単に穿刺(せんし)したり切開するだけではなく、結膜側または皮膚側から切開して腫瘤をすべて摘出する必要があります。小さなお子さんの場合には全身麻酔が必要になりますので、神経筋疾患、呼吸器疾患などの既往があって麻酔にリスクのある場合には、事前に十分な検査が必要です。2歳以上の健康なお子さんであれば、1回の全身麻酔がその後の成長に影響することはありません。