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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 目に関すること
たまに斜視のようになるので、眼科を受診したところ、1週間、朝晩点眼し続けてから眼底検査と言われました。点眼薬を1週間もし続けて、目に影響はないのでしょうか?
たまに斜視のようになるので、眼科を受診しました。次回、眼底検査をする予定なのですが、当日点眼するだけだと思っていたのが、診察前1週間朝晩、点眼し続けてから、ということになりました。今までそのような方法は聞いたことがなく不安です。
1歳だと普通の1回の点眼だと屈折異常など、わかりにくいのでしょうか? また点眼薬を1週間もし続けて、目に影響はないのでしょうか?
処方された目薬は、調節力を完全に麻痺(まひ)させて、遠視を精密に検査するためには欠かせない、アトロピン点眼薬と思われます。ときに全身に副作用が出ることがありますので、正しい使用法で点眼し、異常が見られたらすぐに中止してください。
子どもが斜視になる原因として、目や脳、神経や筋肉などの病気がひそんでいることがありますので、早めに眼科を受診して適切な検査を受ける必要があります。
特に1歳代で内斜視(寄り目)が起こったときに、最も頻度が高いのは、遠視が原因となって起こる「調節性内斜視」です。
ご相談の点眼薬は、斜視の原因を調べるために処方されたアトロピン点眼薬と思われます。
子どもは大人に比べて調節力が強いので、屈折異常(近視、乱視、遠視)を精密に調べ、治療に必要な眼鏡を処方するためには、調節麻痺薬の点眼を行う必要があります。
アトロピン点眼薬は、調節麻痺薬の中で最も効果が高く、1週間朝晩使用すると、調節力を完全に麻痺させることができます。
また、アトロピン点眼薬には散瞳(さんどう:瞳(ひとみ)を大きくする)作用があるため、点眼すると、網膜や視神経乳頭などに異常がないかどうか、精密な眼底検査を行うことができます。
アトロピン点眼薬は、斜視や弱視の診断や治療のために、ごく一般的に用いられている点眼薬で、乳幼児では低濃度に調製して処方されます。
通常は朝晩の点眼を1週間続けても問題はありませんが、ときに副作用が出ることがありますので、十分な注意が必要です。
まず、点眼薬は冷暗所に保存して、お子さんが誤って飲んでしまうことがないように厳重に管理してください。使用時には1滴だけ点眼して、鼻の付け根部分を軽く圧迫してください。何滴も点眼して鼻やのどの方へ吸い込んでしまうと、全身性の中毒症状が出やすくなります。
中毒症状としては、顔が赤くなる、発熱、口が渇く、脈が速くなる、気分が悪くなって吐く、便秘などの症状が見られます。
また、お子さんによっては、点眼薬にアレルギーを起こして、目が充血してはれたり、目やにが出たりすることがあります。
このような症状が少しでも見られたら、すぐに使用を中止して、受診された眼科へ連絡してください。またアトロピン点眼薬は1滴でも使用すると強い効果が出て、まぶしく感じられたり、近くのものがぼやけて見えるようになります。約1〜2週間、効果が持続することがありますので、その間はお子さんの周囲に危険がないように、十分に目を配ってください。