-
総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 体の発達(寝返り〜歩くこと)
生まれつき皮膚にカフェオレ斑(はん)というあざがあります。1歳になってもつかまり立ちができず、はいはいもほふく前進のようです。今後の影響について教えてください。
生まれつき皮膚にカフェオレ斑(はん)があり、最近また増えてきたようです。1歳になってもまだつかまり立ちができません。はいはいもほふく前進のようです。
小児科でも1歳半までは様子を見てと言われたのですが、このカフェオレ斑に対し、今後どのような影響があるのでしょうか。
生まれつき皮膚にカフェオレ斑があると、神経線維腫症(レクリングハウゼン病)が疑われます。皮膚と神経系にさまざまな異常が出てくる可能性がありますが、その程度は軽症から重症まで千差万別です。1歳の時点ではまだ、将来のことは予測不可能な面があります。皮膚科や小児科を定期的に受診しながら、成長を見守りましょう。
生まれつき、または生後数カ月以内に、皮膚に2-3cm以上の褐色の平らなあざが、合計5、6箇所以上ある場合、カフェオレ斑と言って、神経線維腫症(レクリングハウゼン病)を疑います。
遺伝子の異常によって起こる遺伝病のひとつですが、親族にひとりもいなくても突然変異で生じることもしばしばあります。
皮膚の症状は、最初はカフェオレ斑で気づかれ、それが成長とともに徐々に増えてきます。
特に小レクリングハウゼン斑という小さな褐色斑が、胸や背中などを中心に少しずつ増えてくることが多いです。
さらに思春期ごろになると、皮膚の一部にやわらかい盛り上がりが出てくることがあります。これは皮膚の神経線維腫(しんけいせんいしゅ)と言って、皮膚にある神経の腫瘍(しゅよう)です。
最初はわずかな膨らみであまり目立ちませんが、年々少しずつ大きくなり、場合によっては大きく弁状に垂れ下がるような大きな腫瘍になることもあり、大きくなったら切除します。小さくて目立たないものは放置しても大丈夫です。
また、皮膚の下にコリコリとかたくふれるタイプの神経腫瘍もあり、これはふれると痛みが走ります。このタイプは早めに切除した方がいいでしょう。
皮膚以外の症状では、神経系の症状があります。
乳児期から、けいれんや発達の遅れがあることもありますが、極端に遅れることはあまりなく、首のすわり、ひとり歩き、言葉などが人より少し遅いくらいの子が多いようです。そして普通学級に入学し、知能は正常な子がほとんどです。
神経系では、目の視神経や耳の聴神経に腫瘍が生じて異常が出ることもあるため、いずれは眼科で眼底検査、耳鼻科で聴力検査をしておくとよいでしょう。
発達の遅れや、けいれん、歩き方がおかしいなどと感じた場合は、脳波や脳のCT・MRI検査などをします。背骨が曲がる側彎(そくわん)症や後彎症などを伴うこともあります。
このようにいろいろな症状が出てくる可能性はありますが、あくまで一人ひとり違いますので、全部必ず出てくるわけではありません。中には、一生カフェオレ斑があるだけで、ほかに何も出ないという場合もありますし、多少あってもほとんどの人は日常生活に支障なく過ごしています。
定期的に小児科や皮膚科で診てもらいながら、その都度心配な点をご相談し、長い目でお子さんの成長をあたたかく見守ってあげましょう。