推薦・AO、実は大学入試の「大きな柱」入学者の約44%

保護者の世代にはあまり実感がないかもしれませんが、現在の大学入試、特に私立大学入試では、推薦・AO入試が大きな柱となっています。文部科学省の「国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、2017(平成29)年度の大学入学者全体の44.3%が推薦・AO入試によるものでした。

私大では半数以上、国立もAOを増加へ

調査によると、大学入学者61万6,584人のうち、推薦入試で入学した者は21万6,995人(35.2%)、AO入試の入学者は5万6,030人(9.1%)で、合計すると入学者全体の44.3%が推薦・AO入試で大学に入学した計算になります。
全体の4割以上が推薦・AO入試で入学している現状を見ると、大学入試は一般入試が普通で、推薦・AO入試は付け足しのようなものとは、とても言えないことがわかると思います。

特に私立大学に限ると、入学者48万6,857人のうち推薦入試入学者が19万7,378人(40.5%)、AO入試入学者が5万2,020人(10.7%)で、合計すると全体の51.2%と半数以上を占めており、既に一般入試による入学者のほうが少ないのが実態です。
私大志望者にとって、推薦・AO入試は無視できない選択肢の一つとなっていると言ってよいでしょう。

一方、国立大学を見ると、2017(平成29)年度の入学者9万8,330人のうち推薦入試による入学者は1万1,953人(12.2%)、AO入試による入学者は3,249人(3.3%)で、合計しても全体の15.5%に過ぎず、一般入試による入学者が8割以上を占めています。
しかし、文科省の別の調査によると、2018(平成30)年度国立大学入試では、推薦・AO入試の募集人員が1万5,921人となり、募集人員全体の16.8%へと増加する予定です。これはAO入試の募集人員の増加によるものです。
その背景には、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」などの大学入試改革があります。知識と同時に思考力・判断力・表現力などを多角的・総合的に評価するための入試改革の一環として、思考力などを重視するAO入試を導入する大学が増えているのです。

今後の動向に注意を

国立大学協会は、推薦・AO入試などによる入学者の割合を全体の3割にまで引き上げるという目標を打ち出しています。
実際、筑波大学・群馬大学・高知大学などは、2018(平成30)年度入試で募集人員の約3割を推薦・AO入試に充てています。募集人員の3割が推薦・AO入試に充てられることになれば、国立大志望者も推薦・AO入試という選択肢を完全に無視することは難しくなるかもしれません。
ただ、文科省は大学入試改革の一環として、2020(平成32)年度(21<同33>年度入試)から推薦・AO入試の改革を始める予定です。推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」に変更され、いずれも思考力・判断力・表現力などの評価が義務付けられることになっています。
大学入試改革の対象となる今春以降の高校入学者やその保護者は、国立・私立の志望を問わず、今後の推薦・AO入試の動向に十分に注意しておく必要がありそうです。

(筆者:斎藤剛史)

※平成29年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/12/1398976.htm

2018年度国公立大学入試では、推薦・AO入試の募集人員が1万5921人となり、募集人員全体の16.8%へと増加しする予定です。これはAO入試の募集人員の増加によるもので、
※下記資料を参照
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/__icsFiles/afieldfile/2017/10/27/1397610_02.pdf

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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