音読からワンステップアップ!「朗読」で読解力を身に付けよう

国語の宿題でもおなじみの音読とは、声に出して読むこと。朗読も似ていると思われがちですが、聞いてくれる人がいて、その人に伝わりやすいように工夫して読むことがいちばんの違いです。
エリアベネッセ青山では、この朗読を通して読解力を身に付けることで、お子さまが本好きになるのを応援するためのイベントが行なわれました。講師は朗読家として子どもたちに朗読の楽しさを伝える活動をしているほか、朗読のプロを育成する講師としてもご活躍中の葉月のりこさん。朗読で読解力を身に付ける秘訣とは一体どんなものなのでしょうか。

なぜ、朗読をすると読解力がつくの?

なぜ朗読をすると読解力がつくのでしょうか。たとえば下のような文章があるとします。
(1)「私は、昨日とった魚を食べました」
(2)「私は昨日、とった魚を食べました」
(3)「私は昨日とった魚を食べました」

日本語は読点の位置によって意味が変わることがあります。(1)は、魚を「とったのが」昨日、(2)は魚を「食べたのが」昨日という意味になりますが、(3)はどうでしょうか? この文章だけでは昨日「とった」のか「食べた」のか、どちらの意味なのかわかりませんから、前後の文章をヒントに自分で考えなくてはなりません。ところが、お子さまの場合、黙読など目で読むだけではそこまでは考えず、流してしまうことがほとんどです。

一方、「人に伝わりやすように工夫する」朗読ではどうでしょう。声は発するだけではなく、その声を自分でも聞くことになりますから、「これで伝わるかな?」と客観的に考えることができるのです。これが、どの言葉が大切か、作者が伝えたいことを読み解くにつながります。

また、小説を読んでいると、知らない言葉や漢字が出てくることもあります。人に伝えるためには、まず自分が意味を知らなければなりませんから、こうしたことを調べる過程がうまれます。音読が【1】目で読む【2】声に出す、だけの2ステップで成り立っているとしたら、朗読は、【1】目で読む【2】考える・調べる・想像する【3】聞き手にわかりやすいように工夫して声に出して読む、という3ステップで成り立っているのです。

わからないことを知る喜びを、共に味わう

ご家庭で朗読にチャレンジするときに、お子さまの知らないことや言葉が出てきたら、ぜひ保護者のかたも一緒に調べてあげてください。そうして調べたことはずっと覚えているもの。時間のある休日に物語に登場した動物や昔の道具などを実際に見に行っても、親子で知る喜びを味わうことができます。
また、朗読の時だけでなく、普段の会話でも「この人は、ちょっと寂しかったのかも。どう思う?」「一面の雪で、何時間も外で遊んでいたら、手が痛くなってしまうね」などと、想像することを取り入れていくことが、お子さまが読解力を身に付ける礎となります。

プロフィール



朗読家。朗読検定上級検定員。日本朗読検定協会認定教室プチフラージュ代表。朗読家としての活動のほか、朗読公演のプロデュースやコンテストの審査員、読み聞かせボランティア、小学校の講師まで幅広く活動している。

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