大学入試だけではない! 小中高の授業も変わる!

2020年度には現行のセンター試験にかわる新しいテストが導入されるなど、大学入試改革は今、着実に進んでいます。ただ、小学生や中学生の保護者の方の中には「まだ5年も先のことだから、もう少ししてから考えればいい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、大学入試が変わるのは教育のあり方を変えるためであり、当然、小学校から高校までの授業のあり方もすでに変化し始めているのです。


今、日本の「教育観」が変わりつつあります

 これまでの大学入試では、「たくさんの知識を、どれだけ正確に身につけたか」を問う問題が多く出されており、知識重視の入試だったといえます。しかし、IT技術の発達などにより、たくさんの情報を「知っている」ことには、以前ほど大きな価値は見いだされなくなりました。また、環境問題や国際問題など、解決策がすぐには見つからない課題、正解が1つとは限らない問題が多くなる中で、異なる文化や言語の人たちと協力して、問題解決にあたる力が重視されるようになり、学校で習った知識についても、「知っている」だけではなく、「使うことができる」ようになることが求められています。

 

そのような流れの中で、2020年度には現行のセンター試験が「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」にかわり、これまで以上に思考力や判断力、表現力を測る問題が出される予定です。そして、そのような変化は、2020年度を待つことなく、既に大学入試においても少しずつ進んでいますし、なにより、お子さまが受けている学校の授業も今、大きく変わっているのです。その変化の一つが「アクティブ・ラーニング」です。

 

 

受け身の授業から能動的に学ぶ授業へ

 「アクティブ・ラーニング」とは、子どもが教室の仲間と話し合ったり、手分けして調べたりしながら、主体的に学んでいく学習スタイルのことで、小学校や中学校では近年、ずいぶん普及してきました。そして今や高校でもアクティブ・ラーニングの導入が重要な課題になっており、全国的に有名な進学校でも、学校ぐるみでアクティブ・ラーニングへの取り組みを進めようとしているところが出てきています。

 

保護者世代の授業のイメージは、先生の説明と板書に集中して、黙々とノートに書き写すといったものかもしれません。もちろん知識を整理しながら身につけるためには、そうした授業スタイルも必要ですが、グループでの話し合いや発表などで、身につけた知識を実際に使ってみることで、思考力や表現力を養っていこうというのが、アクティブ・ラーニングが急速に普及している理由なのです。

 

勉強といえば「先生の話を静かに聞く」「ドリル学習(反復学習)」というイメージのある保護者の方には、今、小学校から高校まで、アクティブ・ラーニングの導入が進んでいることを知っていただきたいと思います。今の子どもたちには、知識を身につけるだけでなく、身につけた知識を実際に社会で役立てられるような活用力や、習ったことを土台に「なぜ」「どうして」「ほかには」などとさらに考えを深めていくことが求められているのです。

 

 

活用力を育むために家庭でできること

 アクティブ・ラーニングが普及する中、高校入試では記述式の問題が増えるなどの変化が既に現れています。資料を読み取ってわかったことを文章にして書いたり、指示に従って白地図に書き込んだりするなど、暗記する力だけでは答えることが難しい問題が出されるようになっています。数学では、答えだけではなく、途中の式や計算の過程も評価される問題も増えています。

 

小学校、中学校、そして高校と、いずれも思考力や判断力、表現力の育成を念頭にした授業が行われており、入試でもそうした力を測る問題が増えています。大切なのは、それらの力は、一夜漬けの勉強などで身につくものではなく、授業はもちろん、ご家庭での会話なども力を育む素地となっているということです。お子さまとの会話の中で「あなたはどう思うの?」「それはなぜ?」「お母さんはこう考えるけど、その意見に対してはどう思う?」などと聞くことも、これからの時代の学力育成にはとても重要なのです。

 

※大学入試改革については、2015年11月時点で文部科学省から発表されている情報をもとに記事を作成しております。現在も具体的に検討が進められており、今後の検討によって、お伝えしている内容から方針や具体案、実施の時期が変わる可能性がありますので、ご了承ください。

 

 

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