英語の「4技能入試」に向け外部試験サイト 行動指針も

新学期が始まって1か月がたち、初めて受ける小学校高学年の「外国語活動」や中学校の英語にがんばっているお子さんもいらっしゃることでしょう。

先の記事では、高校3年生の英語力に課題が山積していることを紹介しました。グローバル化の時代にあっては、入試問題を解けるためだけの英語学習にとどまっていてはいけません。日本語が通じない異質な他者とも物おじせずコミュニケーションを取り、一緒に物事を成すことこそが究極の目的であり、あくまで英語はそのためのツール(道具)です。そのために学校でも「読む」「書く」「聞く」「話す」という英語の「4技能」をバランスよく育成することを目標に掲げているのです。

一方、そうした幅広い英語力を社会的に証明するものとして、外部の英語資格・検定試験があります。日本で代表的なものといえば実用英語技能検定(英検)ですが、近年注目されている米国のTOEFL・TOEICや、国内でもGTEC・TEAPなど、さまざまな試験が開発・実施されています。そして、大学の側でも、そうした資格や検定結果を大学入試などに採り入れようという動きが広がりつつあることも、以前の記事で紹介しました。大学教育でグローバル人材を育てるためには、入学者にも一定の英語力を求めるのが効果的だからです。高校教育・大学教育・大学入学者選抜を三位一体にした「高大接続改革」が進められるなかで、そうした動きはますます加速することでしょう。

そんな流れに対応しようと、既に紹介した各検定試験の実施団体や関係者による連絡協議会が「英語4技能試験情報サイト」を開設しています。各検定の特色のほか、入試や授業での活用例、文部科学省の動向、4技能の必要性に関するインタビューなど、まさに英語教育をめぐるポータルサイトと言っても過言ではありません。
また、連絡協議会は、学校の授業や入試で検定試験の活用を促進する際の「行動指針」をまとめました。学校が活用する場合には指導改善や学習意欲の向上などにつなげること、大学入試などに活用する場合には各校の入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー、AP)に基づいて入学から卒業までの英語力向上のために活用を図ることを打ち出しています。

一方で実施団体には、経済的状況に配慮した受験料、地域バランスに配慮した実施体制、実施回数など、受験のしやすさに可能な限り配慮すべきだとしています。現在でも受験料が1万円前後や2万円前後という試験も少なくなく、そのうえに試験会場も限られるとなれば、費用負担は無視できません。「受験料の減額・補助・助成など支援体制等」を求めているのも、活用の広がりを想定してのことです。

サイトの内容は随時更新されているので、そろそろ子どもの英語力が気になりだしたかたは、チェックしてみるのもよいかもしれません。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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