いまさら聞けない子どもの身体によい食事【後編】お子さまのタイプ別アドバイス

Jリーガーやプロ野球選手への栄養・食事指導を行っている管理栄養士の川端理香先生に、前回はバランスのよい食事作りのアドバイスをいただきました。今回は、お子さまの食事でありがちなお悩みにお答えしていただきました。



いまさら聞けない栄養&食事相談

Q. お肉ばかり食べて困っています。野菜も食べないとダメでしょうか。

A. 肉を食べ過ぎると、食べカスが多く出るため腸内環境が悪くなり、便秘になりやすくなったり、便が臭くなったりします。また、腸内環境の悪化により悪玉菌が増えると、免疫力が低下し、さまざまな病気のリスクが高まります。ですから、肉や魚などたんぱく質を摂るときは、同じくらい野菜を意識して食物繊維を摂りましょう。

Q. 朝や昼ご飯は、炭水化物だけの食事になりがちです……。

A. パスタ・うどん・ラーメンなどの炭水化物は、主にエネルギー源で、それだけでは身体を成長させるための栄養素が不足してしまいます。また、炭水化物だけでお腹いっぱいにしようとすると、必要以上にカロリーを摂取してしまい、肥満につながってしまいます。パスタや麺類をメニューに取り入れる場合は、ソースや具に肉や野菜を加えて、身体を作るための栄養素であるたんぱく質やミネラルも一緒に摂れるように工夫してほしいですね。

Q. 加工食品やおそうざいの素を使うのはよくないのでしょうか。


A. 加工食品やおそうざいの素を選ぶ際には、原材料名の表示をチェックし、食品添加物の少ないものを選ぶとよいでしょう。原材料の表示は、重量割合の多い順に記載されます。同じ価格帯のウインナーやハムでも異なりますので、よく比較してみましょう。
特に注意したい食品添加物は、ウインナーやカップラーメン、スナック菓子に含まれるリン酸です。リン酸は摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害する困った存在です。ウインナーなどに含まれるリン酸は、ゆでると溶け出ますので、ゆで汁を捨てるようにしましょう。また、カップ麺などにも含まれていますので、麺を戻したお湯はスープにせず、一度捨てて、新しいお湯を入れてスープの素を入れると、麺に含まれるリン酸を減らすことができます。

Q. スポーツの試合当日の朝、何を食べたらよいでしょうか。

A. 当日は、うどんやおにぎり、焼きそばなどの炭水化物を摂るようにしましょう。炭水化物は体内でグリコーゲンになりますが、これは車でいうガソリンの役割があります。ガソリンがあると車が走るように、人間もグリコーゲンがあると動き、動くことでどんどん減っていきます。ですから試合前は、グリコーゲン(=ガソリン)を満タンにするように炭水化物を摂ることが大切です。
また、食べるものだけでなく、食べる時間も大切です。できれば、3時間~3時間半前に食べ終わるようにしましょう。試合までになるべく消化しておくことがポイントです。
ちなみに試合後は、運動で壊れた筋肉を修復するためたんぱく質を積極的に摂りたいですね。おすすめなのは、良質なアミノ酸成分が含まれているマグロの刺身です。もちろん焼き肉などでもOKです。たんぱく質をすぐに摂ると、疲労感はずいぶんちがうはずです。

Q. 塾通いをしていて夜食を食べたがりますが、どうしたらよいでしょうか。

A. 消化のよいものを軽く食べるようにしましょう。たとえば、ヨーグルトやフルーツなどもおすすめです。ただ、夕食の量にもよりますので、下記を参考にしてください。

◆夕食をしっかり食べてからの塾後の場合……
 夜食はプレーンヨーグルトにはちみつ、きなこなど

◆夕食がおにぎり程度の場合……
 豆腐や鶏肉、野菜の鍋料理など

できれば、22時30分までに食べさせてあげたいですね。夜遅い時間の夜食は体脂肪として蓄積されやすくなり、また翌日の朝食が思うように食べられないなどの弊害が出ることもあります。朝食が食べられないとそのあとの一日の活動にも影響が出たりもするため、やはり規則正しい食習慣を子どものうちからつけるうえでも内容や時間は意識してあげたいものです。



お子さまと食事を振り返ってみましょう

バランスのよい食事ができているか、時にはお子さまと振り返ることも食事に対して意識を持つきっかけになると思います。
今日一日何を食べたのかを思い出して、紙に書き出してみるとよいでしょう。なかなか食べたものが思い出せなかったり、書き出した時に食材の量が少なかったりすれば、それを見ただけでも、もう少し食事を意識したほうがよいのかと感じたりもするでしょう。
書き出した材料を見て、たんぱく質(肉・魚介類・卵・大豆・乳製品)をチェックすれば、身体作りの栄養素がしっかり摂れているかがわかります。チェックがない、または少ない場合は成長に必要な栄養素が摂れていないことになります。
また、野菜が少ないなど、献立の偏りもチェックできます。毎回同じようなメニューになってしまっている場合には、たとえば調味料を少し変えて、いつもの野菜炒めや焼きそばに、カレー粉やナンプラーを加えてみるとひと味違う一皿になり、それによって野菜や肉の種類などの具材も変わってくるはずです。
そばやパスタなどの炭水化物ばかりになっている場合は、麺類に温泉卵を載せたり、豆腐や枝豆、かまぼこなどを冷蔵庫に常備しておき、それをプラスしたりするだけでも栄養の偏りを防ぐことができます。

食事について親子で振り返るのは、親子のよいコミュニケーションにもなりますし、お子さま自身の食育につながります。時間のあるときにでもぜひ、実践してみてほしいですね。


プロフィール


川端理香

「WATSONIA(ワトソニア)」代表。管理栄養士。元日本オリンピック委員会強化スタッフ。現在もプロスポーツ選手の栄養管理などを多数受け持つ。著書や監修書に『カラダの悩みは食べ方で99%解決するークスリに頼らない食事術—』(ゴルフダイジェスト社)、『子どもの身長を伸ばす栄養と食事』『勝てるカラダをつくる!野球選手の栄養と食事』(大泉書店)他多数。

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