<小学生・サッカー初心者の練習法>【第6回】ヘディングとボレーキック・リフティング
今回は、浮いたボールを扱う2つのテクニックに挑戦します。頭で扱う「ヘディング」と、足で蹴る「ボレーキック」です。空中を飛んできたボールをトラップして足元に置いてから蹴ろうとすると、相手が迫ってきて間に合わない時があります。そんな時にヘディングやボレーキックを使うと、相手より先にボールに触れて、パスしたりシュートしたりできるのです。そんなテクニックを身につける方法を、元Jリーガーの中里宏司氏が、お手本を示しながらわかりやすく紹介してくれます。親子で一緒にチェックして、チャレンジしてみてください。
<小学生・サッカー初心者の練習法>【第6回】ヘディングとボレーキック・リフティング
トレーニング1
「ヘディング」
ボールを足で蹴るのではなく、頭に当てて味方にパスしたりシュートしたりするのがヘディングです。頭にボールが当たるのをこわがる人もいるかもしれませんが、試合ではヘディングが効果的な場面がよく出てくるので、いやがらずにトライしましょう。
やってみよう! |
(1)2~3メートル離れたところにいる相手に、ボールを頭のあたりに投げてもらい、そのボールを頭にあて、相手にまっすぐ返します。 <ヘディングのポイント> ・ボールをよく見て、おでこに当てる ・両手を前から後ろに振って、勢いをつける(両手を自分の前に出して構えておく) ・上半身を少し後ろに反らしてからヘディングする ・最後までしっかりとボールを見る (2)(1)と同じ練習を、ヘディングする人が片足を上げて行います。上げた片足を蹴り下ろしながらヘディングすることで、強いヘディングをすることができます。 <片足を上げてのヘディングのポイント> ・ボールを投げる人に対して、体を横向きにして立つ ・ボールが来るほうと反対の足を上げてボールを待つ ・上げた足を思い切りよく後ろに蹴り下ろしながらヘディングする ・腕を使ってタイミングをとり、ボールを最後までよく見る (3)ボールが来る方向と別の方向にヘディングをする練習です。3人(A、B、C)がそれぞれ2~3メートル離れて三角形をつくるように立ち、AがボールをB(C)の頭のあたりに投げます。B(C)はそのボールをヘディングして、C(B)のほうに返します。C(B)はそれをキャッチして、Aに渡します。 <ボールが来る方向と別の方向へのヘディングのポイント> ・ボールとヘディングする相手の両方を見る ・右にも左にもヘディングできるようにする |
トレーニング2
「ボレーキック」
浮いたボールが来た時に、トラップして地面に落としてから蹴るのではなく、浮いているうちに足で蹴るのがボレーキックです。浮いたボールを蹴るのはとても難しいですが、試合でとても役立ちますから、繰り返し練習しましょう。
やってみよう! |
(1)インサイド(足の内側)でのボレーキックの練習です。2~3メートル離れて立っている相手に、ボールを足元に落ちるように投げてもらい、そのボールが地面につかないうちにインサイド(足の内側)で蹴って、ボールを投げた人に返します。 <インサイドでのボレーキックのポイント> ・蹴りたい方向に体の正面を向けて立つ ・立ち足(ボールを蹴るのとは反対の足)の足先を蹴りたい方向へ向ける ・足首をしっかりと固めてキックする ・左右両足でできるようにする (2)(1)と同じ練習を、インサイドではなくインステップ(足の甲)で蹴って行います。 <インステップでのボレーキックのポイント> ・蹴りたい方向に体の正面を向けて立つ ・立ち足(ボールを蹴るのとは反対の足)の足先を蹴りたい方向へ向ける ・足首を伸ばしてしっかりと固め、足の甲でキックする ・左右両足でできるようにする (3)ボールが来る方向と別の方向に、インサイドでボレーキックをする練習です。3人(A、B、C)がそれぞれ2~3メートル離れて三角形をつくるように立ち、AがボールをB(C)の足元に落ちるように投げます。B(C)はそのボールが地面に落ちる前にインサイドで蹴って、C(B)のほうに返します。C(B)はそれをキャッチして、Aに渡します。 (4)(3)と同じ練習を、インサイドではなくインステップ(足の甲)で蹴って行います。 <ボールが来る方向と別の方向へのボレーキックのポイント> ・立ち足(ボールを蹴るのとは反対の足)の足先を蹴りたい方向へ向ける ・左右両足でできるようにする |
トレーニング3
「ボレーシュート」
ボレーキックで直接、ゴールをねらうのがボレーシュートです。サッカーでいちばん楽しいのはゴールを決めることです。すべての練習はゴールを決めるためにあると言っても良いくらいです。みんなもたくさんボレーシュートの練習をして、ゴールをめざしてください。
やってみよう! |
1)インサイドでのボレーシュートの練習です。ゴールの真ん中あたり、ゴールラインから2~3メートル離れたところ(ゴールエリアのラインのあたり)に立ち、ゴールポストの前あたりにいる相手に足元に落ちるようにボールを投げてもらい、インサイドでボレーキックをしてゴールに入れます。 (2)(1)と同じ練習を、インサイドではなくインステップ(足の甲)のボレーキックで行います。 |
■ちゅうコーチからのアドバイス:ヘディングとボレーキックで大切なこと
《ヘディング》
・ボールをよく見て、おでこに当てる
・両手を前から後ろに振って、勢いをつける
・上半身を少し後ろに反らしてからヘディングする
・最後までしっかりとボールを見る
・ボールとヘディングする方向の両方を見る
《ボレーキック》
・蹴りたい方向に体の正面を向けて立つ
・立ち足(ボールを蹴るのとは反対の足)の足先を蹴りたい方向へ向ける
・インサイドでもインステップでも、足首をしっかりと固めてキックする
親子でチャレンジ
「歩きながらのリフティング」
サッカーをまったく知らない人でも、親子で一緒に楽しみながら、自然にボールの扱いがうまくなるトレーニングを紹介します。今回は、歩きながらのリフティングのトレーニングです。
やってみよう! |
2人1組で2~3メートル離れて立ち、1人がリフティングをしながら相手のほうに向かって歩いていきます。途中でボールを地面にバウンドさせてしまってもかまいません。相手のところまで来たら、周りを1周して、元いた位置に戻ってきます。戻ってきたら相手にパスをします。これを交互に繰り返します。 |
ワンポイントアドバイス
「子どもが失敗した時の接し方」
Q:失敗したり負けたりして落ち込んでいる時、どう接したら良いのですか?
A:試合に勝つなど、物事がうまくいった時の成功体験は、子どもの育つ力となります。しかし、成功体験だけが子どもを育てるわけではありません。失敗や負けなど、挫折から学ぶこともたくさんあります。
いつまでも悩み続けているようでしたら、お父さん・お母さんの挫折経験と、それをどう乗り越えてきたかを伝え、立ち直るヒントを示してあげてください。そして、子どもが失敗や負けを素直に受け入れ、反省し、原因を探るなど、自分で考え、前向きに進んでいくよう、導いてあげましよう。失敗や負けから学ぶことで、子どもは大きく成長していきます。
ちゅうコーチの「今日のひとこと」
だれでも最初はうまくいかないのが当たり前です。練習をやってみて、うまくいかないのは、恥ずかしいことではありません。失敗をおそれずにチャレンジすることが上達の秘けつです。どんなにすごい選手も、最初は失敗ばかりしていたはずです。もちろん僕も、失敗ばかりしていました。みんなもどんどんチャレンジしていきましょう!