打ち方・投げ方・キャッチボールのコツ 少年野球の練習法【第1回】ピッチング

野球の基本を身につけるためのコツと練習方法を、修徳中学校軟式野球部の小野寺信介監督が、3つのテーマでアドバイスしてくれます。第1回のテーマは「ピッチング」です。ボールがうまく投げられると、野球がもっと楽しくなります。そのために必要なのは、ちょっとしたコツを覚えることだけ。基本がしっかり身につくよう、お子さんと一緒にぜひトライしてみてください。

打ち方・投げ方・キャッチボールのコツ 少年野球の練習法【第1回】ピッチング


<打ち方・投げ方・キャッチボールのコツ 少年野球の練習法【第1回】ピッチング(動画)>



ピッチングの3つのPOINTを確認

トレーニングに入る前に、ピッチングの3つのポイントを確認しましょう。この3つをしっかり頭に入れておくと、トレーニングの効果が上がります。

POINT1 ボールの握り方

  • 人差し指と中指の指先を、ボールの縫い目に沿ってかける
  • 親指を曲げ、第一関節の背の部分を、人差し指と中指のちょうど真下にくるようにかける。
    親指の腹の部分をかけてしまいがちだが、そうすると、ボールがすべって思わぬ方向に行ってしまうおそれがある。
  • 小指を締める。関節をしっかり曲げて、手のひらに爪を立てるようにすること。

POINT2 腕の使い方

  • 腕全体を使って投げる。投げる前に、ボールを握ったまま腕を2~3回、大きくグルグル回すと、腕全体を使って投げる準備ができる。
  • 力を入れすぎず、肩・ひじ・手首をリラックスさせる。余分な力を抜くことで、腕がムチのようにしなり、肩・ひじ・手首が連動して、ボールにうまく力が伝わる。

POINT3 下半身の使い方

  • 軸足(右投げなら右足)の足先を、投げる方向に対して90度に向けて立つ
  • 軸足と逆の足(右投げなら左足)を上げて重心をいったん右足に乗せる
  • 軸足と逆の足を大きく前に踏み出し、重心をそちらに移動させながら投げる
  • 踏み出した足の足先がまっすぐ投げる方向に向くようにする


【Lesson1】 椅子に座ってピッチング

最初に、椅子に座ったままボールを投げてみましょう。椅子に座ると、下半身の動きが抑えられ、上半身の使い方に集中できます。


やってみよう!
(1)両足を肩幅より広めに広げて、椅子に浅く座ります。深く腰掛けて背もたれに寄りかかると、体が後ろに反ってしまい、ボールをうまく投げられません。ボールを投げる方向は、正面ではなく、右投げなら左側です。

(2)ボールを投げる方向(右投げなら左側)を見て、手を2~3回大きく回してから、足と胸を投げる方向へ向けながら、腕を大きく振ってボールを投げます。投げる方向に向かないと、ボールをまっすぐ投げにくくなります。

※ゴムボールなどのやわらかいボールを使えば、部屋の中や庭先でも練習できます。
※実際にボールを投げず、ボールを握ったまま投げる動作をするだけでも、ボールを投げる時の正しい姿勢が身につきます。

<ポイント>
  • 手だけでなく上半身と下半身を一緒にねじり、足と胸を投げる方向へ向けながら投げる
  • 肩の力を抜いて腕全体を大きく振る


【Lesson2】 椅子から立ち上がってピッチング

今度は、椅子に座った状態から少し立ち上がり、ボールを投げてみましょう。この時、やや爪先立ちになることで、前傾姿勢になり、反っくり返った投げ方を防ぐことができます。椅子に座って投げた時の感覚も忘れずに。


やってみよう!
(1)両足を肩幅より広めに広げて、椅子に浅く座った状態から、腰を浮かせて立ってやや爪先立ちになり、軸足(右投げなら右足)に体重をかけます。

(2)ボールを投げる方向(右投げなら左側)を見て、手を2~3回大きく回してから、軸足とは逆の足(右投げなら左足)に重心を移しながら、腕を大きく振ってボールを投げます。投げたあと、軸足とは逆の足1本で立つくらいでOKです。重心が軸足に残ったままだと、下半身が使えず、腕だけで投げることになってしまいます。

<ポイント>
  • 立つ時は、重心をかかとではなく爪先にかけ、バランスを崩さないようにする
  • 投げる時は、軸足(右投げなら右足)にかかっている重心を逆の足(右投げなら左足)へ移動する


【Lesson3】 立ってピッチング

今度は、最初から立ったままボールを投げてみましょう。今までやってきた練習の感覚を忘れずに。


やってみよう!
(1)軸足(右投げなら右足)を相手に対して90度に向けて立ち、軸足と逆の足を上げて重心を軸足にかけます。

(2)軸足と逆の足を相手に向かってまっすぐ踏み出し、重心をそちらに移動させながら、肩の力を抜き、腕全体を大きく回して投げます。スムーズに重心を移動することで、ボールに力が加わり、遠くまで投げられます。

※家の中で、ボールを使わずにピッチングフォームの練習を行うのも、十分に効果的です。

<ポイント>
  • 足と胸を相手の方向へしっかり向ける
  • 力を抜いて腕全体で投げる
  • 軸足から踏み出す足に重心を移動する
  • 下半身と上半身を一緒に使う

次回のテーマは、「キャッチング」です。


プロフィール


小野寺信介

1979年生まれ。修徳中学校軟式野球部監督。情熱と理論を兼ね備えた指導で同校を全国中学校軟式野球大会に何度も導き、2003年には全国準優勝に輝く。

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