模擬試験のように、出題範囲が決められていないテストで普段どおりの力を出すにはどうしたらよいか?[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小5男子(性格:大ざっぱ・強気タイプ)のお母さま
質問
(算数は)塾の宿題テストではトップクラスなのに、模試では偏差値50以下のこともしばしばあります。問題数もかなりこなしているのですが、模試のように出題範囲が決められていないテストで普段どおりの力を出すにはどうしたらよいのでしょうか。特に図形問題や2つ以上の公式や手法を使う問題が模試ではほとんど解けません。
小泉先生のアドバイス
解き方を原理原則から理解して、ランダム形式で演習する。
子どもたちは、算数の問題をどのように解いているのでしょうか? おそらく、今まで習ってきた解法をお手本に、その問題にあった解き方を試行錯誤しながら、正しい答えにたどり着くという場合が多いと思います。つまり、その問題の解き方を《自分で新たに作りだす》ということはほとんどないということです。そして、解き方をあみ出すような才能がなくても、最難関の中学校に合格することは可能なのです。ただし、解き方のあつかい方によって算数の力は大きく変わってくると思います。
たとえば、解き方を「まる暗記」しているだけだと、その問題は解けますがちょっとひねった応用問題は解けません。また、今回のご質問にあるようないろいろな単元が含まれている問題群(以下、「ランダム問題」と呼びます)を解く時に、上手に解けなくなる場合もあります。これに対して、解き方を覚え、それを「原理原則から理解」している子どもは、応用問題やランダム問題でも解くことができます。原理原則から理解することで、数値や条件が変わっていても実は設定は同じであることがわかるのです。
たとえば、図形問題を解く時を考えてみましょう。「まる暗記派」は問題を読んで図形問題であることはわかりますが、果たして相似を使うのか補助線が必要なのか、決められないで考えあぐねてしまいます。これに対して「原理原則派」は、足りない条件は何か、どのような公式や手法を使えば答えが見えてくるかを、試行錯誤の中で見つけようとするのです。このように、解き方を覚えるだけではなく、「なぜそうするのか?」を理解することがまずは大切だと思います。
また、問題演習のやり方ですが、同じ単元内の問題を解き慣れたら単元がわからないランダム形式で演習するのも良いでしょう。単元がわかりませんので、そこから考え始める必要がでてくるのです。単元が明らかでなく、よって、使う公式や手法を自分で選ばなくてはならない問題を解く時の不安な気持ちに耐える練習、とも言えるでしょう。
ただし、このような演習をしたくても、お子さまのカリキュラムの進み具合にピッタリのランダム問題集はなかなか見つけられないかもしれません。その場合は、ご自宅で作ることになると思います。単元ごとの問題集から、適当な問題をピックアップしてコピーし、バラバラな順番で用紙に張りつければランダム形式の問題集が完成します。あるいは、問題をカードに張りつけ(表に問題、裏に答え など)、それをトランプのようにシャッフルして、上から順番にやっていくのも良いと思います。カードに張りつける方法ですと、《単語の暗記カード》のようにできた問題のカードをリングから取り除き、できない問題だけをまた繰り返し演習できるというメリットがあります。また、すべてのカードの問題をできるようにするという目標が目に見えるので、意欲的に取り組めるかもしれません。
さらに、実践的なテスト形式にすることで、時間内に解く練習をするのも良いでしょう。より早く、しかも正確に解くための集中力は、このような実践的な演習を通じて培われていくものです。問題を解く順番やステ問(後回しにしてもよいと判断し、捨ててよい問題)を見つける力などは、このような問題演習によって身についていくでしょう。そして、これらの力が上手に機能することによって、初めてテストで実力どおりの点数がとれるようになっていくのだと思います。