いじめ・不登校の急増、「コロナ禍のせい」だけでいいの!?

2021年度に、いじめの認知件数や、不登校の小中学生数が過去最多になったことが、文部科学省の調査でわかりました。特に不登校は、前年度比1.25倍の急増です。理由について文科省は、新型コロナウイルス感染症が子どもたちに大きな影響を与えたと分析しています。しかしコロナ禍が収束すれば、問題は解決するものなのでしょうか。

この記事のポイント

「重大事態」も2019年度並みに

いじめに関して、調査では「発生件数」ではなく「認知件数」としています。深刻ないじめに至る前に積極的に認知し、早期対応で解決することが大切だ、との考えからです。そのため件数の増加は、必ずしもいじめの深刻化を意味しないことも確かです。
いじめの認知件数は2019年度、約61万2,000件でした。20年度はコロナ禍による休校措置もあり、約51万7,000件に急減。学校生活がほぼ平常に戻った2021年度は、中学校や高校で19年度を下回ったものの、小学校で初めて50万件を突破するなどの増加が響き、約61万5,000件とコロナ禍前を上回りました。
気になるのは、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」の件数です。子どもの心身や財産に重大な被害が生じたり、欠席を余儀なくされたりしている疑いが認められる場合を指します。2021年度は705件と、休校のあった20年度(514件)を挟んで、19年度(723件)に迫る数値となっています。

登校しないことに抵抗薄れ

小中学生で年間30日以上の不登校は、2019年度が約18万1,000人、20年度が約19万6,000人と増え続け、21年度は約24万5,000人に跳ね上がりました。コロナ禍で登校に不安を抱いたり、生活環境が不安定になったりしたことに加えて、オンライン授業などが広がったこともあって、登校しないことに抵抗が薄れたという指摘もあります。
ただし学力はもとより、心身の健全な発達が保障されているかどうかが問題です。それには学校に来られなくても、教員の見守りや指導・支援が欠かせません。その点は大丈夫なのでしょうか。

気になる教員の多忙化

教員の勤務をめぐっては、感染予防対策はもとより、オンライン授業や1人1台端末への対応も加わって、多忙化がますます進んだという見方もあります。実際には2022年度に行われている勤務実態調査の結果を見なければ、確かなことは言えません。
しかし、いじめにしても不登校にしても、平常時以上にきめ細かな対応が求められることは間違いありません。そんななか、肝心の教員自身に余裕がなくなっているとしたら、子どもの問題が見過ごされる恐れもあります。

まとめ & 実践 TIPS

東日本大震災などを契機として、学校や教員には、非常時に際して子どもを守るセーフティーネット(安全網)という重要な役割があることが認識されてきました。もちろん感染症も、その一つです。
決してコロナ禍を一過性のものととらえず、どんな事態になっても子どもに寄り添い、心身の安定と学力保障を図る体制づくりが、今こそ求められるのではないでしょうか。

(筆者:渡辺 敦司)

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

永岡桂子文部科学大臣記者会見録(2022年10月28日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00313.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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