食品の値上げ「世帯当たり年7万円の負担増」にも、子どもの学び!?

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2022年の10月は、食品や飲料をはじめとして値上げのラッシュとなり、学校給食も大きな影響を受けたことから、自治体はもとより、政府も対策を講じてきました。家計への影響も悩ましいところですが、身近な「食」と世界とのつながりに子どもと一緒に目を向け、ピンチを学びのチャンスにしてみてはどうでしょうか。

この記事のポイント

世帯当たり年7万円の負担増

調査会社の帝国データバンクによると、10月に値上げした食品は、食品や飲料など6,699品目に及び、年内のピークだといいます。既に値上げしたものを含めると、累計は2万665品目、平均値上げ率は年間平均で14%となっています。
物価上昇は、春先から続いていました。同社の試算によると、これまでの食品値上げで少なくとも1世帯当たり年間7万円の負担増となっているといいます。

給食費の軽減策も

給食は、学校給食摂取基準に沿ってエネルギー量や栄養素が決まっているので、質も量も確保する必要があります。高騰分を保護者負担にするのも容易ではなく、限られた予算で工夫せざるを得ない状況が続いています。
そこで政府は、学校給食を実施する設置者に対して、地方創生臨時交付金で創設した「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用して、給食費の保護者負担を軽減するよう、自治体に求めました。
文部科学省が1,793自治体の取り組み状況を調査したところ、7月29日時点で学校給食費の保護者負担軽減を「実施している」と回答したのは、37.9%に当たる679自治体。そのうち臨時交付金を活用しているのは、約半数の372自治体でした。
なかには、期間を限定して給食費を無償化するケースも出てきています。特に経済的に厳しい状況に置かれている保護者や子どもは、物価高騰が食の深刻な問題に直結します。経済的な支援の継続が求められます。

社会科や家庭科にヒント

こうした世の中の変化を、子どもたちも敏感に感じ取っていることでしょう。高騰を嘆くばかりではなく、時事問題として、日頃の勉強や自由研究のテーマにしてみてはどうでしょうか。
たとえば小学3年生の社会科では、スーパーマーケットの見学や買い物調べをして、流通について学びます。4年生では電気やガス、水道などのインフラ、5年生になると日本の食料自給率や輸出入、6年生では国際関係についても学びます。
5・6年生の家庭科では「買い物の学習」を通して消費生活を考える授業もあり、さまざまな物の値段が上がっている理由を多面的に考察できそうです。

まとめ & 実践 TIPS

11月からは牛乳の大幅な値上げが控え、家庭も学校給食も、依然として厳しい状況が続きます。節約も大切ですが、子どもたちには広い視野で、今の社会を見つめる目を持たせてあげたいものです。

(筆者:長尾 康子)

※帝国データバンク
「食品主要105社」価格改定動向調査(2022年10月)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p221001.html

文部科学省「物価高騰等に対応した学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組状況をお知らせします。」
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01110.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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