中高生も注意したいネットの買い物
- 教育動向
あらゆるモノがスマートフォン(スマホ)でインターネットとつながる今、消費者トラブルも、ネット上で起きやすくなっています。国民生活センターは、若者や子どもが巻き込まれないよう、注意喚起をしています。コンサートチケットや美容系商品など、思春期の中高生にも魅力的に映るアイテムが多いのも確か。本人が気を付けるだけでなく、周囲の大人がトラブルの傾向を知り、対応を伝えることも必要でしょう。
この記事のポイント
18歳でトラブルに遭うことも
インスタグラムやLINEなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を利用していると、さまざまな広告が表示されます。コロナ禍で生活様式が変化したことで、ネット通販やオンラインでのコミュニケーションが一層盛んになり、買い物や手続きなどの利便性は増しました。それに伴い、契約できる「成人」になるタイミングで、トラブルに遭うケースも増えています。
国民生活センターなどの調べによると、2020年度、20~24歳の消費生活相談件数の平均値は7,741件で、18・19歳の4,820件と比べると、約1.5倍となっています。この傾向は、何年も続いています。成年年齢になり、一度結んだ契約を取り消すことができる「未成年者取消権」が行使できなくなったためとみられます。
2022年4月には、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。同センターでは、成年になったばかりの18・19歳も、消費者トラブルに巻き込まれる恐れがある、と警鐘を鳴らします。
美容や儲け話には注意
相談の傾向を見てみると、年齢を問わないものと、成年になってから増えるものとがあります。18・19歳と20~24歳で共通するのは、ダイエットサプリメントやバストアップサプリメントなど「健康食品」の定期購入商法、洋服などの「模倣品サイト」、「出会い系サイト」や「アダルト情報サイト」などのトラブルがあります。
20~24歳で、相談件数が18・19歳に比べ2倍以上に上るものとして、脱毛や痩身などの「エステティックサービス」、暗号資産への投資など「ファンド型投資商品」といったトラブルが登場します。販売形態では、いずれも8~9割がインターネット通販の販売購入形態を採っていました。
調査は、成年年齢引き下げ前に行われたものです。今後は18・19歳の新成人も、これらのトラブルに遭う可能性が増えると見込まれます。
具体的な相談方法も伝えたい
同センターは、▽うまい話はうのみにせず、きっぱり断る▽クーリング・オフや消費者契約法など、消費者の味方になるルールを身に付ける▽トラブルに遭ったと感じた場合は、最寄りの消費生活センター等に相談する……の3点を挙げ、消費者ホットラインの番号「188(いやや!)」を紹介しています。こうした内容は、学校の家庭科で教えたり、自治体が独自の教材を配布したりするなど、消費者教育でも強化されているものです。
ただし、社会状況が変われば、新たな手口も生まれます。2022年に入って急増しているのは、コンサートやスポーツ観戦などのチケット転売に関する相談です。感染対策を講じた上で開催されるコンサートで、転売仲介サイトと気付かずに、高額なライブチケットを購入してしまうなどのケースです。
まとめ & 実践 TIPS
ネット広告はユーザーの興味や関心に基づいて表示されることが多いため、気付かぬうちに、購入意欲が高まってしまいます。子どもの夢中になっているものや普段の金銭感覚は、身近な大人だから見えるもの。保護者自身が最新情報を知ることも、トラブル防止のセーフティーネットになりそうです。
(筆者:長尾 康子)
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