小学1年生、初めての夏休み! 学習はどうしたらいい?【第1回】学習計画、立てる?立てない?

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入学して初めての夏休みを迎える小1生。長期間のお休みに、「何をしよう!」とわくわくしているご家庭が多いかと思います。一方で、「毎日の学習はどうしたらいいの?」と心配している保護者もいらっしゃるでしょう。
そこで、自校でのご指導に加え他校での研修講師経験も豊富で、ご自身も小学生の保護者でいらっしゃる先生お2人に、小1生の夏休みの学習について聞きました!

この記事のポイント

お話を伺った方
二川佳祐先生 東京都公立小学校主任教諭。教職14年目。小2、小5の父。
乾倫子先生 大阪府公立小学校指導教諭。教職18年目。年長、小2の母。

夏休みはがんばった1学期のお休み期間、のびのびと過ごそう

——小1生にとって初めての長期間のお休みです。どのように過ごすとよいとお考えでしょうか。

二川 小学校に入学したばかりの1学期は、子どもにとって慣れないことの連続です。最初は午前中のみだった授業はだんだん増えて5コマまで行われるようになり、宿題が出て、プールも始まって……と、学校に行くだけでへとへとというお子さまもいると思います。
夏休みはそうした状況から一息ついて、伸び伸びと過ごしてほしいですね。

 私もそう思います。今1年生の担任をしていますが、子どもたちはみんな、授業に行事に一生懸命取り組んでいます。
学校でがんばっているお子さまの保護者から、「家庭で手を焼いているが、学校で迷惑をかけていないか」と相談を受けることがあります。学校で無理している反動が家庭で出ているようです。
ですから、学校では、学習などを詰め込みすぎないようにしています。宿題をできなくてもよいですし、学校でがんばっているねとほめてくださいと、保護者に伝えています。夏休みの学習も、お子さまのペースで取り組んでいただければよいと考えています。

二川 夏休みの前に初めての通知表が渡されますが、保護者のかたが思っていたような評価でないと、「うちの子はだめじゃないか」と心配になって、夏休みに学習を詰め込みすぎてしまう傾向があるようです。通知表は参考程度に捉えて、お子さまのよい面をほめて、意欲を引き出すことに活用してほしいですね。

学習計画は立てても、立てなくてもOK!

——ベネッセが保護者のかたにお子さまが長期休みの学習計画を立てていたかを尋ねてみたところ、小1生の場合、「計画を立てていた」「立てていない」はちょうど半々でした。この結果をどうお感じになりますか。

【調査地域】全国、【調査対象】小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた、【調査期間】2022年1月7日~23日、【調査手法】WEBアンケートによるベネッセ調べ、【有効回答数】706名

 「学習計画をしっかり立てなきゃ!」と思い込まずに、お子さまのタイプに合わせればよいと思います。たとえば、コツコツ取り組むのが得意なお子さまであれば、学習する時間帯やプリントの枚数を決めたほうが机に向かいやすいかもしれません。一方で、気分が乗れば集中力を発揮するお子さまもいます。
学習計画をきっちり決めずに、やる気のあるときに何枚も何時間でも思う存分取り組めたほうが、お子さまにとってもいいですよね。

二川 学習計画を立てるのは、宿題を2学期の初日にちゃんと提出できるようにという親心からだと思います。でも、夏休みの終わりに慌てて取り組んだとしても、夏休み最終日に終われば、提出期限は守っているので問題ないと思うのですが……。それではダメですかね(笑)。

——いつ学習するかを決めないと、ウチの子はいつまでもやらないと心配なのではないでしょうか。

 もしそうだとしても、できるかぎり子どもが自分なりにやってみる経験が大切だと思います。少なくとも、保護者が一方的に計画を決めずに、お子さまと話して学習計画を立てて欲しいです。
子どもが決めて、うまくいかなかったり、期日に間に合わなかったりしたとしても、なぜそうなったのかをお子さまと一緒に話して、振り返ることそのものが、貴重な学びになります。

——自分で決めて、自分で取り組む経験してほしいということでしょうか。

 失敗しても次に生かしていけばよいですし、1年生だからこそ、そうしたゆとりがあるはずです。親が言う通りにして失敗したら、失敗を親のせいにするようになってしまいます。忘れ物をしたのはお母さんのせい、成績が上がらないのはお父さんのせい、だって。

二川 以前、担任を受け持ったクラスに、7月中に宿題を全部終わらせるというお子さまがいました。保護者に話を聞くと、サッカーの合宿などがあるからと、子どもが自分で決めてやっていると言っていました。心から尊敬しました。

 自分で学習を調整することや振り返りは、小1生でも十分できます。「昨日はさぼったから、今日はもっとやろう」と言うお子さまもいます。
問題が起きても、それを自分で乗り越えたという自信になり、その経験の積み重ねでこれからの学びや社会で必要となる力がついていきます。夏休みをそうした学びの場にしてほしいですね。

声かけの頻度をゆるやかにして、親も子もストレスフリーに

——そうすると、保護者はどのようにかかわればよいでしょうか。

 つかず離れずのスタンスで、見守るのがいいと思います。
我が家の場合、2年生の息子に、私からは何も言いません。どのタイミングで何を言ってほしいのかを、子どもが決めて、それを私に伝えてもらっています。たとえば、「今日、宿題を忘れそうだから、8時に声をかけてほしい」と言ってきたら、そのようにしています。

二川 なるほど。そうすると親も、「勉強したの?」と毎日言わずにすみますね。子どもが決めなくても、3日に1回とか、火曜日に確認するとか、週単位で声をかける方法もよさそうです。

 あと、計画通りにできたら、もっと学習させようとしがちですが、そうしないほうがよいと思います。私もかつては、授業で予定を終えて時間が余ったら、プリントに取り組ませていました。
でも今は、ご褒美タイムとして各自が好きなことをできるようにしています。そうした余白が、学びにもよい影響があると感じています。

——大人は時間があるとつい埋めてしまいますが、お子さまのペースを大切にしたいですね。

二川 我が家では、家族それぞれが夏休みにやりたいことをノートにばーっと書き出して、その中から、家族でいつ何をするか計画を立てています。
私は、せっかくの夏休みだから遠くに旅行したいとか書くのですが、子どもは散歩したい、料理をしたいなど、身近なことが多いです。
子どもも長い休みにわくわくして何をしようと考えているわけですから、子どものやりたいことを優先し、話し合って計画を立てています。そうすると、私のやりたいことも納得して、一緒に楽しんでくれます。

 大人から見たら小さなことでも、子どもの願いを叶えることはハッピーですよね。
もちろん、小1生では経験が少ないので、やりたいことの範囲が限られますから、保護者が体験させたいことをするのはいいと思います。
でも、その時も子どもを楽しませようとするのではなく、二川先生のように、子どもと話し合ってやることを決めて、親が楽しむというスタンスだと素敵ですね。親が楽しければ、それが子どもにも伝わり、一緒に楽しいですから。

二川 いい夏休みを過ごしていたんだなあと思う子どもは、2学期の初日に、クラスメートや私に夏休みのことを話したそうにうずうずしている様子が伝わってきます。
計画を立てても立てなくても、そうした夏休みを過ごしてほしいですね。

夏休みの学習計画 ここがポイント

  • ・学習計画は立てても立てなくてもOK。お子さまのタイプに合わせて。
  • ・つかず離れずのスタンスで、子どもの様子を見守ろう。
  • ・うまくいかなかったら「なんでだと思う?」「どうしたらいいかな?」と振り返りのサポートを。

※この記事の続編は、7/27(水)・8/3(水)に「まなびの手帳」「ベネッセ教育情報サイト」で公開予定です。あわせてぜひご覧ください。

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株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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