文科省が全校導入を目指す、「コミュニティ・スクール」とは一体なに?目指す理由やその実態とは

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文部科学省の検討会議が、すべての学校に「コミュニティ・スクール」導入を加速するよう促す報告書(最終まとめ)を公表しました。コミュニティ・スクールとは、一体どういうものでしょうか。なぜ、全校への導入を目指すのでしょうか。

この記事のポイント

学校方針の承認や教職員人事に意見も

コミュニティ・スクールとは、地方教育行政法という法律に基づいて「学校運営協議会」を置く学校のことです。保護者や地域住民などが加わり、一定の権限や責任を持って学校運営に参画することができます。

コミュニティ・スクールの校長は、協議会に、学校運営の基本的な方針を承認してもらわなければなりません。一方、協議会は、学校の教職員人事についても、教育委員会に意見を述べることができます。

このように法律で定められている権限は大きいのですが、実際には「学校の応援団」の役割を果たしている学校が大勢あります。校長にとっても、協議会から基本方針にお墨付きをもらうことで、かえって校内で存分に腕を振るうことができる、と話す人もいます。

いずれにしても、学校側、保護者・地域住民側が共にコミュニケーションを取りながら、気持ちを合わせ、一緒に学校を運営していくための制度だと言えるでしょう。

地域活動との両輪で

一方、学校運営協議会とは別に、保護者や地域の人たちが学校で行う「地域学校協働活動」もあります。「放課後子供教室」や「地域未来塾」といった体験・交流活動が、これに当たります。日本中がさまざまな地域課題を抱える中、コミュニティ・スクールと両輪でコミュニティーづくりをすることも期待されます。

2015年3月の教育再生実行会議第6次提言は「学校を核とした地域づくり(スクール・コミュニティ)への発展を目指す」として、コミュニティ・スクールの仕組みの必置化を提案。同年12月の中央教育審議会答申も、地域学校協働活動を推進する「地域学校協働本部」を全国的に整備することを打ち出すとともに、すべての公立学校でコミュニティ・スクール導入を目指すよう提案しました。

公立の3校に1校が導入、校種・自治体には温度差

学校運営協議会の設置が教委の努力義務にしたこともあって、コミュニティ・スクールの数は近年、飛躍的に伸びました。
2021年度は1万1,856校と、全公立学校のちょうど3校に1校(33.3%)に当たります。ただし、小学校や中学校が比較的多く、広い地域から生徒が集まる高校や、特別支援学校は少なめです。また、自治体によっても取り組みに温度差があります。

まとめ & 実践 TIPS

2022年4月から高校でも実施が始まった新しい学習指導要領は、「社会に開かれた教育課程」という方針を掲げています。日々の学習活動を進めるにも、地域をはじめとした社会の協力が欠かせません。そんな学習で育った子どもたちが社会人となり、地域・社会づくりに貢献するという好循環も期待されています。

日本が人口減少社会に突入し、自治体の消滅可能性さえ心配される中、学校と地域・保護者が手を取り合って地域社会と学校教育を担っていくためにも、コミュニティ・スクール導入の促進が求められていると言えでしょう。

コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議 最終まとめ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/163/toushin/mext_00001.html

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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