3.11東日本大震災の教訓を「すべての子どもの安全」へ 国が策定する第3次計画とは

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東日本大震災から、11年がたちました。10年の節目を過ぎても、いまだに東北地方などでは大きな地震が頻発しています。また、この10年で明らかになったのは、全国どこでも自然災害の危険から逃れられない、ということではなかったでしょうか。大人はもちろん、子どもの安全を守るために、何をすればいいのでしょうか。

この記事のポイント

リスクは全国どこでも

下記は、2022年2月7日、中央教育審議会(中教審)から末松信介文部科学省に答申された「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について」の冒頭になります。

「我が国は、近い将来に発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震、激甚化・頻発化する豪雨、台風などの計り知れない自然災害のリスクに直面している。また、学校における活動中の事故や登下校中における事件・事故、SNSの利用による犯罪など子供の安全を脅かす様々な事案も次々と顕在化している」

同計画は、学校保健安全法によって、国に策定を義務付けているものです。中教審答申を受けて、5年間の計画が閣議決定されます。
第1次計画は、2012~16年を計画期間とするものでした。まさに、直前に起こった東日本大震災の教訓を反映させたものでした。

求められる実践的・実効的な教育

2022~26年を計画期間とする第3次計画の特徴は、すべての学校で実践的・実効的な安全教育の推進や、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育・訓練の実施を求めたことなどです。

学校管理下(在校時や通学時)での子どもの死亡事故を限りなくゼロにすることや、負傷・疾病の発生率を減少させることも目指しています。
計画では、学校に組織的な対応を求める一方、家庭や地域、関係機関との連絡・協働により、学校安全を推進することが不可欠だとしています。学校任せにしてばかりでは、いけないでしょう。非常時に子どもをどう引き取るかなども含め、綿密な打ち合わせをしておくことも、ますます必要になりそうです。

子ども自身に予測・回避する力を

もっと重要なことがあります。子どもが「自ら危険を予測し、回避する能力を育成する安全教育の充実」です。

これまで自然災害に際しては、よく「想定外」ということが語られました。しかし、むしろ想定外の事態のほうが多いと考えたほうがいい、というのが、大震災などからの教訓です。
非常事態に、どう判断し、自分や他人の命を守るために行動できるかが重要になります。

「想定内」の避難訓練だけでなく、教科の授業なども含め、自分の頭で考えて判断する力や行動する力を育むことが今、求められています。そうした視点を示したのも、3次にわたる学校安全計画の成果です。

まとめ & 実践 TIPS

子ども自身が自他の命を守れるように行動する力を育むのも、学校任せにはできないことです。夏・冬休みを含め、子どもは学校にいない時間のほうが圧倒的に多いのです。大震災などを教訓に、子どもが自分で身の安全を守れる力を付けさせるよう、家庭でも考えたいものです。

第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1415877_00004.htm

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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